■マーケットウィナーズ( 3/29 放送 )

テーマ: 「景気の調整はどこまで進んでいるのか」
ゲスト :
鈴木一之 氏
(マーケットアナリスト)
鈴木氏 : 改めて、基本に立ち返れというところから、景気と株価の関係を見つめ直してみようと思いますね。
本当に今景気は悪いのか。 月例経済報告でも日銀も、まだ総裁は決まっていませんが、副総裁にお二方決まって、いきなり景況感を下方修正するような動きを今出してきていますので。 今日本の景気の現状はどうかというのを鉱工業生産指数の動きから、出荷と在庫の関係を見てみたいと思います。


  これは鉱工業生産指数の中から出荷と在庫ですね。 来週月曜日、一番新しいデータが発表になりますが、これは直前の1月分のデータを使っています。
日本の製造業が物を作りました→売れました。それが出荷。作りました→売れませんでした。それが在庫。 前年同月比の伸び率をそれぞれ出荷と在庫をとってあげて、赤い色と青い色の折れ線グラフにしてあります。
そして、出荷の伸び率から在庫の伸び率を引き算してあげたのが緑の折れ線グラフ、バランスというものです。この緑の折れ線グラフがまさに景気というものではないかなと思うんですね。2000年以降、ITバブルが崩壊して、景気の底入れが2002年の2月からと言われています。3回踊り場があって、今3回目の踊り場が来ているということを盛んに言われ始めてきているんですが、ところがどうでしょうか、この緑色の出荷と在庫のバランスは、ここに来て落ち込むどころか少し底入れから上向きになっているかなと、1月ちょっと落ち込んでいるんですけど、新しいデータが2月に出てまいります。これが今の日本の景気の現状ではないかなと思うんですね。
昔はすごく振幅が激しかったんですが、今ITが進んで、日本中がトヨタの看板方式を採用するようになってきていますから、あんまり在庫が増えたり、極端なブレがなくなってきているように思います。
さて、同じようなグラフを3枚ご覧いただきますが、業種別に分解して見ていこうと思うんですね。まずは、鉄鋼業です。


  これは、鉱工業生産の中から鉄鋼だけを抜き出して、見てみたものです。
日本全体の4.4%のウェートを占めているのが鉄鋼業で、やはり激しい波というものがずっとギクシャクあったりなんかして、ところがこの緑色の出荷と在庫のバランス、伸び率を引き算してあげたものは、2007年の年末年始、2006年から2007年にかけて高原状態を作った後、今この緑色の折れ線グラフはグーっと下向きになってきていますね。 これが最近の鉄鋼株の新安値更新にひょっとしたらつながっているのではないかなと思います。よくよく見ると細かいんですが、この傾きが少しマイルドになってきている。そこに安心感があるといった状態です。これが鉄鋼業界の現状ですね。


  次は一般機械です。 農機具とか、工作機械とか、あるいは建設機械とか、非常に品目が多いので、まとめて一般機械と、日本全体の大体12%ぐらいのウェートです。
これは立ち上がって、2007年を通じて非常に良かったんですが、2007年の秋口ぐらいからグっと下向きになってきている。
これがコマツ、あるいは日立建機あたりの株価に影響を与えているのかなという風にも思えるんですね。まだ鉄鋼業ほど、最近の傾きはマイルドになってきていないという状況になってます。


  景気が本当に悪いのかどうか、これは電気部品、デバイス、エレクトロニクスです。
これは非常に明確に上下ノコギリの刃のような動きが明確に出ているんですが、これが今もっとも悪かったんですね。非常にこの緑色の折れ線グラフは傾きが急で、やっとこ下げてきたんですが、ところが少しずつ収まりかけている。2000年のシドニーオリンピックで高橋尚子選手が金メダル。2004年のアテネオリンピックで野口みずき 選手が金メダル。そして今度は誰かという。ひょっとしたらこの後、北京オリンピック効果で少しずつ浮上してくる可能性も無きにしも非ずというところなんですね。
ですから今まで良かったところが下向きになり、今まで悪いと言われていたところが意外と底入れから上向きになりかけているなというのが現状ではないかなというのが今の私の結論です。
岡崎氏 : ほぼ同じような意見なんですが、先月、こういうグラフをお見せしたのを覚えているでしょうか。


  中小企業の商工中金という政府系の金融機関が作っている調査レポートの一つで、 その中でも、前年同月比の中小企業の売上高の推移を見たものなんです。折れ線グラフがそれです。青いシャドーがかかっているところが、景気の後退期なんですね。
注目して見てもらいたいのは、景気側の後退期になりますと、一気に売上高落ちていくのが本当にストレートに反応するのが中小企業の売り上げなんですね。その中小企業の売り上げが実はこのようにプラス圏でずっと安定的に推移しているんですよ。
これは3月調査で、2月分の数字プラス3.2、57カ月連続のプラスなんですね。
しっかりやっているんですよ。その中でもちろん儲かっているところ、儲かっていないところいろいろあるかもしれませんが、中小企業というのは日本企業の足腰、それも本当に地面についているところですからね。ここがグラッとこない限りは、そう簡単には日本の景気は崩れないんではないかなと、さらには在庫の管理が徹底されていますから、 仮にグラッときたとしても、崖から突き落とされるような形の景気後退にはならない、 傷は転んでも深くはならないような、そんな風に見ているんですけどね。