■マーケットウィナーズ(8/19放送)
テーマ:2つのTOBから着目した北越紙的銘柄とフタタ的銘柄
ゲスト:鈴木一之(インフォストックスドットコム チーフアナリスト)
 
 

今回の2つのTOBのケースから学べることは何か無いのかという問題ですね。
まず考えるのが、北越紙という会社はどういう会社か、あるいはフタタという会社はどういう会社か、そこから得られるエキスのようなものはないかなというところから入っていきたいと思います。
まず北越紙のバランスシートを見ていただきたいんですね。


 これは北越製紙の一番新しく手に入る貸借対照表、バランスシートです。北越紙はこのような状況になっていて、資産が2300億円、現預金が74億円。必ずしも現預金が非常に多いという会社ではないんですが、非常に特徴的なのは、製紙業界という巨大な装置産業の割には、自己資本比率が非常に高い。これはどういうことかというと負債が非常に小さいということなんですね。借り入れ金がどれだけ小さいかというメルクマールに、これを分数と考えていただければいいんです。株主資本が分母、有利子負債を分子として考えると、700÷1120、そうすると0.6ぐらいになるんです。これがD/Eレシオ(デットエクイティーレシオ)と言われる、借入金が多いか少ないかを見る一つの目安なんですね。 
    
今回買収ターゲットにあっていない三菱製紙だとか、大王製紙だとか、同じ製紙業界の中ではD/Eレシオが2倍とか3倍に対して、北越紙は唯一0.6倍と1倍を割り込んでいると、非常に借入金負担が小さい会社であると。なのに、王子紙がTOBを発表する前日の株価で計算した時価総額が1000億円ちょっと、PBRは0.9倍なんですね。PBRの計算というのは、株主資本と時価総額の割り算ですから、これで割り算すると、会社のもっている資産価値を下回っているんだということが分かるんですね。これに目をつけて王子製紙はTOBをかけたということになっていくわけですよね。

もう一つだけ、資産項目として北越紙が持っているものというのは、機械、建物、有価証券、大きいものはこれ位なんです。製紙業界で非常に特徴的な、土地というものはこの会社ほとんど持っていないんです。だから一頃のように事業を買収するというケースが最近多くなってきていますが、現金を持っている東京スタイルにTOBにかける。あるいは含み資産をたくさん持っている阪神電鉄に対してTOBをかける。あるいはマンパワーをたくさん持ってる日本技術開発に対して夢真がTOBをかけるような、ああいう動きは今回全然ないんですね。

ストレートなTOB。アメリカ的な動きが初めて日本に起きてきたんじゃないかと思いますね。もう一つ、フタタの例を見ていただきたいんですが、


同じく1月決算ですが、フタタのバランスシートです。大阪2部に上場しているんですね。北越紙に対して非常に小さい会社です。資産が200億円位。現預金が比較すれば大きいと言えば大きいんですが、そんなに大きい方ではない。フタタの特徴はなんと言っても借入金がゼロ、完全無借金であるという状態なんですね。
ですからD/Eレシオ、分数で同じように考えてみるとD/Eレシオは0倍ということになりますよね。なのにPBRは0.4倍、資産価値を半分も下回っている。こういう条件でスクリーニングを行うというのが今回のテーマであるわけです。


北越紙的なスクリーニング条件というのは、大型株、オールドエコノミー、PBRが大体0.8〜1.1倍、そして借入金負担が小さい。こういう条件でスクリーニングをしています。


それからフタタ的なスクリーニングは小型株、市場がバラけています。そしてPBRが0.5倍、有利子負債がゼロ。こういう条件ですね。これでリストアップした銘柄がこのようになっています。


コンデンサーの大手、ニチコン。化学商社の長瀬産業。やはり日立です。日立が0.9倍。家電のビクターとか日本板硝子。ピルキントンを買収した日本板硝子は買収対象になってしまうかもしれないという。最近の株価下落がこのような銘柄を導いてるってことになりますかね。これが北越紙的な、オールドエコノミー的な資産価値が非常に割安な銘柄です。


もう一つ、フタタ的な銘柄、これは東証2部とか、大阪、名古屋の2部市場のあまり名前を聞いたことのない銘柄が多いんですが、例えば日新商とかですね、ダイトーケミとか、市場シェアの高い会社がずらっと並んでる。特に松尾電機なんていうのはニチコンと同じようにコンデンサー、短たるコンデンサーの業界大手ですので、こういう会社がPBR0.5倍以下ぐらいに名を連ねているんですね。