■マーケットウィナーズ(5/13放送)
テーマ:決算発表を分析(1):鉄鋼業界
ゲスト:鈴木一之(インフォストックスドットコム チーフアナリスト)
  決算が出てきて、今アナリストが、一生懸命、綿密な分析をしているんですね。私はそんな綿密には出来ないんですが、決算の出揃った代表的な業種の中から代表的な銘柄を選んでそれの財務内容、決算内容を少しずつ、細かに分析していこうと思うんです。

 第1回目は、鉄鋼業界です。基本的なフォーマットは、例えば鉄鋼業界の代表選手、新日鉄、住友金属、神戸製鋼、JFE HD。そして比較として松下をここに並べてみました。上が2006年3月、いわゆる終わった2006年3月決算の売り上げ、経常利益、当期利益です。それの伸び率、実数時と伸び率ですね。
新日鉄ですと、売り上げ3兆9,000億。経常利益5,400億。そういう順番で書いてあります。下が、07年3月、今期に関して会社側はどのような数字で見方をしているのか。例えば新日鉄ですと売り上げは4兆円、2.4%の増収で見ているんですが、経常利益は4,600億円、−16%と。これが非常に企業としては慎重な見方をしている。売り上げは伸びるけど利益で伸びない、という見方を各社出しているんですね。例えば神戸製鋼あたりですと、売り上げは5%伸びるけど、利益で18%減益と、今の段階では見通ししている。これをマーケットではネガティブにとらえていた。という状況ですね。

岡崎氏:原油の値段が上がったり、鉄鉱石の値段が上がったり、仕入れの価格が上がることを懸念して、コストが上がってしまって、スクイズって言うんですけど、圧縮されてしまうんじゃないかと、本当はそうはならないと思うんですけど、そういう慎重な見方がここに表れています。

鈴木氏:比較として、松下。いわゆるこれは勝ち組の中の勝ち組というのを比較対象として持ってきました。業種もなにも全然違います。松下の売り上げ8兆8,000億円、方やJFE HDは3兆円。もう2倍以上ですよね。ところが利益の額になると、松下は経常利益3,700億円。勝ち組の松下が3,700億円で、一方でJFE HDが5,000億円。売り上げが半分以下のJFE HDが経常利益の絶対額で圧倒的に抜いてしまっている。その結果、売上高経常利益率、分母が売り上げ高、分子が経常利益で計算しますとJFE HDは16%、松下は4%。これだけ見ますと、要は松下に対して売り上げで1/2のJFEというのは、利益の率で見ていくと松下の4倍、松下の4社分を併せた会社というのがJFEであるという非常に高い収益率を誇っているんですよね。


 今度は損益計算書、PLだけではなく、バランスシートも加味してやっていこうと思うんですね。決算短信を見ますと、総資産、株主資本、有利子負債、そして先ほどの売上高と当期利益。この5つの数字というのは生データでパパッと抜き出してくることが出来るんですね。これは日経会社情報にも出ていますが、日経会社情報は6月発売のものしか出ていないので、決算短信から抜き出してくることが出来るんですね。それをそれぞれで割り算してあげると、いわゆる財務諸表というものが出てきます。アナリストと言われる人は最低限これぐらいの数字をパパッと見ながらいろいろ分析していると思うんですね。

まず、株主資本比率、これは株主資本÷総資産。D/Eレシオは有利子負債÷総資産。使用総資本回転率は売上高÷総資産。当期利益率は当期利益÷売上高。ROAは当期利益÷総資産。ROEは当期利益÷株主資本。

さて、問題です。例えばROEで見ると新日鉄はROE20%、住金はROE30%。これに対してD/Eレシオは0.73対0.94、これは株主資本の額に対する有利子負債の割合がD/Eレシオですから、新日鉄の方が借入金は低いんですよね。神戸製鋼はまだ1.36倍ですから、有利子負債の額が株主資本をまだ超えているということになっちゃうわけですよね。財務体質は神戸製鋼がちょっと遅れているなということになっていくわけです。利益率を比べていくと、今度は新日鉄の8.8%に対して、住金は14%という、非常に高収益を現在誇っていることになりますよね。あるいは、神戸製鋼がちょっとやっぱり遅れている。これは機械の部門も持っていますので、なかなか利益率としては上がらないということになってきますかね。こんなことをずっと比べっこしていって、やっぱりナンバー1の新日鉄というのはずっと見ていくと、どれもこれも総合的にもの凄く強いなということがわかってくるんですね。