■マーケットウィナーズ(10/8放送)
テーマ: 岡崎良介の投資レッスン“投資情報としての短観を読む”
ゲスト: 鈴木 一之(インフォストックスドットコム チーフアナリスト)

 日銀短観というのは1974年に始まってもう31年です。歴史のある、四半期ごとのアンケート調査をベースにしていて、元々は、日本銀行の金融政策のための調査なんです。これが非常に景気動向を繁栄しています。特に株式市場の先行きを占ってくれる。もっと言うと、業種の中で、電気がいいとか、鉄がいいとか色々言いますけれども、そういうところまで結構見えるんです。それで株式市場の人間が、株式市場の為に、注目してきたということなんです。
 これは、会社の数としては22万社ぐらい標本として見てるんですけれども、そこからサンプルとして選ばれた1万社ぐらいをもって、大企業、中堅企業、中小企業と分けてそれぞれで分析してるんです。大企業の方が日本の株式市場の東証1部と大体同じような形になっている。日銀短観の大企業の部分を注目してみると、TOPIXの業種の動きが見えてくるんじゃないかという話なんです。


 TOPIXと短観との差を見てもらいたいんですけども、まず、TOPIXは時価総額の加重平均なんです。トヨタなんかの割合が非常に大きい。それに対して、短観というのは1社に対して1枚の紙切れで計られますから、単純平均ですのでどっちが近いかというと、大体の構成比で、会社数もほぼ一緒なんです。製造業がTOPIXは5割弱なんですが、短観の方は製造業のウェイトが少し大きいんです。それで他の細かい部分を見ていくと電気、輸送とかも大体ウェイトが同じですね。輸送なんかはやはりトヨタとかが入っているTOPIXの方が大きいのですが、短観の方がそれに比べると小さい。この辺が製造業の特徴ですね。


 続いて非製造業なんですけども、こちらの方はTOPIXよりも少し大きくなってます。面白いのは、情報通信のところがそうなんですけども、これもNTTとかNTTドコモでほとんど占められてしまいますから、短観のほうがウェイトが小さくなってます。


 この違いの1番大きいところは、短観に含まれていない業種というのが銀行、保険、証券業です。水産とか農林とかというのも入ってませんが、金融政策にそのまま直結しますから、もともとこれは最初に言ったように金融政策のためのものですので、省かれてるというのが特徴ですね。さて、これらを予備知識として覚えてもらって、第126回日銀短観の特徴を見ていきたいと思います。


 まず短観の概要がどんなものになってるかというと、大体ここにある8項目です。1つ目が1番重要な業績。業況判断と呼んでいますけど、それに想定為替レートがついています。儲かってますか?損してますか?上手くいってますか?っていうアンケートなんですけど、これがまず1つ目。それから製品とかの需給はどうですか?在庫は余ってませんか?とか価格ですね。売れている商品の値段は上がってますか?下がってますか?だから売り上げ、設備投資、金融機関、雇用、企業金融、こういったのがあるんですが、重要なのは上から4つ目ぐらいまでです。この点について順番に見ていきたいと思います。


 まず1番大きな大企業の業況判断の製造業です。短観を見るときの1番大事なことは、その1つ前の短観と比べてどうだったかということなんです。今回の場合ですと、6月の短観と9月の今回の短観と比べて良くなっているのか悪くなっているのか、製造業は6月の調査では足元は18ポイント良いと思ってる人の方が多かったですね。それに対してその時の先行き、つまり3ヶ月後の9月は先行きが17ですから、ちょっと悪くなってるんじゃないかという心配、懸念が広がってたんですね。ところが9月になってみると実は19ポイント、1ポイント上昇ということで懸念は払拭されましたと。むしろ良い方向にいってますというのが、今回の足元、さらに9月から12月を見ると18ポイントと、日本の経営者はみんな慎重で、やはり先行きや原油のこととか気になるんでしょう。少し悪いようにみてるというのが先行きの12月です。非製造業ですが、これは意外と落ち着いているんですね。同じように6月の時点でも、15ポイントが先行き14ポイント、非常に慎重だったんですけども、実際は15ポイント。逆に12月になると16ポイントと良くなるだろうとみている人が増えてるというのが特徴ですね。


 続いて想定為替レート、これが大きなところなんですけども、おたくの会社では会社の業績、売り上げ計画を立てるときの為替レートどれぐらいで見てますか?っていうところなんですけども。去年は大体上期109円ぐらいだったんですが、円高になってしまって、下期は105円になってしまったんですね。
 ところが、今年はもともと円高気味で始まりましたから、6月の調査の視点では、上期が104円で採算をはじいています。下期は103円83銭で弾いています。ということだったんですけども、9月、今回105円、104円ということで、非常に円高を想定して経営を進めている。今は113円、114円ということで、その分輸出が多い国ですから、為替差益も出るでしょうし、一説には大体1円ぐらい円安が進むとして日本の金融業を除く企業収益全体大体0.5%ぐらい業績が良くなると言われてます。そういう意味では10円の円安が進むと5%も業績が良くなるということです。これは結構期待していい数字かなというのがまず1つ目のポイントです。


 次が、販売の価格がどうなっているか。デフレを見るとき非常に重要なんですけれども、まず上段の方が販売価格、売ってる値段がどうかということなんですね。下段の方が仕入ですね。簡単に言うと販売の値段が上がって、仕入れの値段が下がってくれれば、仕入れが安くなって売り上げの値段が上がるわけですから、利益率が広がりますね。そうすると企業は万々歳と。そんな風に見ればいいんですけど、まず製造業でみると販売価格のほうは、−7ということでなかなか価格の上昇難しいですよといってた。ところが−9というのが前回だったんですけど、今回はー5ということで、意外と値段は下がらなかった。デフレが少し和らいだというのが製造業のポイントなんですね。特に加工業のほうは3ポイントも上昇してますから、加工業のデフレがちょっと和らいできたっていう状況です。一方で仕入れの方なんですけど、こちらの方は8ポイント上昇してまして仕入れ価格がまだ上がっていると。ところが加工の方はゼロなので、あまり上がっていないというところなんですね。こういうことで考えると、製造業の中でも加工は売り上げの単価が上がって仕入れの単価が上がっていないので利益率は良くなっている。そのうち素材の方は逆に売り上げの値段が1ポイントしか上がっていないのに仕入れの値段が8ポイントも上がっている、原油とか一次産品の上昇ですね。これがあるので鉄とかこういうところは厳しいかなというのがここから見られるわけですね。


 以上のことから、次は業種に入っていくんですけれども、まず、全体の動きなんですけども、この下がってるところが、見事に日本の景気が後退しているところと大体一致してるんですね。注目してもらいたいのがこの青の線なんですが、青の線が去年の2004年の後半に21ポイントぐらい戻りの高値をとったんです。ちょっと下がったんですね。17、18と、これがいわゆる踊り場状況だったんですね。これが少し良くなって18、19と今少し上に向かってるところなんですが、業種によっては去年の高値のところ、向いてるところがある。まずそこに注目してもらいたいですね。


 その業種がいったい何かと言いますと、全産業では16、17、17という動きなんですけども、化学12が15になりました。一般機械も41、自動車もそうですね、。ずっとこのようにこういった製造業のところとと非製造業の1部のところを高値を更新してきた。これはなかなか収益にチャンスが生まれてきたなというところですね。


 悪いのは鉄とかがあまり良くなかったんです。それともう1つは変化幅です。この四半期で急に良くなったところは何処なんだろうとみるとですね。今回は精密が14ポイントも良くなってるんです、精密というのは今まで過去10年間のDIの動きをみると大体大きく動いて11ポイントぐらいなんですよ、今回の14ポイントも良くなるというのはもの凄くいいことなんでこれは注目してみていきたいと。それから電気機械も今回7ポイントも上昇したのでこれも注目かなと思いますね。そういったところで大体業種が絞られてくるのかなというのが今回の短観の特徴ですね。

(以下、鈴木氏):先ほどの6業種、直近高値をDIで抜いたというやつですね。それが全上場銘柄数3800の内、6業種だけ選ぶと1000銘柄弱あります。997銘柄あってその中から今期来期増益、経常利益10%以上増益。しかも今期で過去最高益を更新する会社。というものを時価総額別に選んでみました。


 まず時価総額1000億円を超える企業の中で注目されるのは、化学、日本ゼオンという液晶向けの非常に強いメーカーが出てきてます。精密が今は非常に注目を集めていますので、7位のトプコン、8位のHOYA。トプコンは計測機器をやってるんですが、計測機器は液晶や半導体はもちろんそうなんですけども、自動車や自動車を作る工作機械を作るのに計測機器というのは欠かせないものです。設備投資関連として非常に伸びてると思いますね。まさに機械のOSG、アマノ、そういうところが出てくると思います。


 今度は時価総額1000億円以下という銘柄で同じく今・来期2期連続で経常10%以上増益、且つ今期経常最高益更新。それを選ぶとこのような会社になります。化学が多いですね。1000億円以下の会社ではやはり化学は非常にもともと母集団として大きいというのもありますが、やはりグッと集中してますね。藤倉化成というのはコーティング材の会社です。自動車、あるいは電子材料部品のコーティング材を手がけている。やっぱり自動車なんでしょうね。 全体として、設備投資関連ですね、設備投資で潤う周辺産業が多いように思いますね。