■マーケットウィナーズ(9/24放送)
テーマ: つみあがる信用売り残から銘柄を探る
ゲスト: 鈴木 一之(インフォストックスドットコム チーフアナリスト)

今回の上昇相場の特徴は、信用の売り残が非常に積みあがってるということです。先日、東証から発表された分の数字では、3市場合計で1兆6800億円売り残が積みあがってます。 過去最高が80年代バブルの89年4月の1兆7300億円ですので、ほとんどそこに信用売り残は届いてしまうということになってます。信用の売り残。つまりカラ売りですね。要は高いところでカラ売りして、相場が下がったとき、安くなったときに買い戻せば、普通の取引の逆になりますが、それで利益が得られる。だから、今までずっと長いこと相場は12、000円を境に1年以上頭を抑えられていました。こんな簡単に上がったらいずれまたすぐに安くなるんじゃないかと思ってカラ売りしてる個人投資家の方が多いっていうのが1つです。信用取引は基本的に個人投資家が利用するものですから、これが1つ。
もう1つは、機関投資家も信用取引を利用することがあるんです。これは個人のように、信用の買いと売りで利用するのではなく、機関投資家の場合は信用の売りで出てくるケースが多いと思うんです。品薄株に対して、場に売り物が5000株しかないような中堅クラスの銘柄。そこに、例えば「この銘柄良い」と思ったオイルマネーが「100万株買いたい」と。5000株しか売り物がないところに100万株買いに行ったら、諦めてくださいと言うしかないのですが、証券会社によっては、特に大手証券によっては「分かりました。その100万株用立てしましょう」と、証券会社が自分の自己勘定でカラ売りをふるんです。その値段で100万株分。それに対して機関投資家、特に外国人投資家なんかがきたらその100万株を買う訳です。これで外国人投資家は満足して引き下がる。残るのは証券会社の自己部分がふったカラ売りということになります。機関投資家の外国人がこんなに入ってきてますから、具体的に今の非常に至上最高レベルに迫ってるような信用の売り残というのは、個人の売りも多いんでしょうが、同時に機関投資家が買うことによる証券会社のディーラーからの売り、これの積みあがり分がかなりの部分入っているんじゃないかなと思います。信用の売りというのは期限がきたらどこかで買い戻さなくてはいけませんので、買い要因ですね。ですから個人がカラ売りしようと、証券会社のディーラーがカラ売りしようとどこかで買いで入ってきます。と同時に別の買っていってしまった、機関投資家はそれだけのニーズがあるということがはっきりしてる訳ですから、売り残が積みあがっている銘柄というのは機関投資家のニーズが高い銘柄と言えそうですね。


イビデンの月足です。上場来高値を抜いてるんです。昔からつけてきた高値を、ドカッと抜きました。もの凄い勢いで上がってるんですけど、週足に直して見ると…


ちょうどイビデンが上場来高値を、かつてのもみ合いを抜いた辺り。この辺のときに信用の売り残がずっと積みあがってる訳です。イビデンをカラ売りするような個人投資家というのは普通いませんので、ここで売り残が積みあがるということは、機関投資家がまとめて玉を返したところに対して、証券会社のディーラーがショートをふった。いわゆる決め商いです。この部分の積みあげがあって、その後のイビデンの株価の上昇がある。さらに、個人の買いも結構入ってきますから信用の買いが増えて、大体、手仕舞いの信用の売りが増えてくると、いま立場逆転するような感じになってきてます。


もう1つ同じような例で、日本電気硝子がやはり同じようにすごい勢いで上場来高値抜いているんです。液晶の硝子パネルを作ってる世界でナンバー3の会社です。これも上場来高値を抜いたのが、先日起きているわけなんですが、このころにイビデンと同じような動きが起きているんです。前の高値を抜くという瞬間に信用売り残が非常に週足ベースで積みあがっている。


ここら辺から株価の上昇が始まり、前の高値、節目が抜くという辺りで、売り残が積みあがり、日本電気硝子をカラ売りする個人投資家というのもあまりいませんので、ここから機関投資家の買いが入ってきたなというところから吸い上げられて、株価が上昇した。これが実需を背景とした決め商いによる、カラ売りの積みあがっている銘柄の特徴的な動きではないかなと思うんです。機関投資家がバックにスポンサーとしてついてる証拠が売り残の積みあがりの1つだと考えることができるんではないかと思います。


そこで、信用倍率の低い銘柄、通常は信用取引というのは買い残が多いもので、ですから割り算すると、信用倍率1.0を上回ってるというのが普通なんです。ところが買い残よりも売り残が多い銘柄の場合は1倍を下回ってしまうわけですね。ゼロコンマいくつで表示される、ゼロコンマの銘柄を探していく。しかも日経平均が株式市場が上昇を始めた8月8日の週、衆院解散以降、8月第2週から直近までで信用倍率が大きく低下した。いわゆる売り残が大きく増えた銘柄をリストアップしてみたのがこれなんです。


8月第2週の倍率。1番に出てきているアステラス製薬、昔の山之内製薬です。山之内と藤沢ですが、これは8月第2週に0.93倍だったものが、1番最近0.21倍、これ引き算すると、0.72と。この数字の大きい順で主だった銘柄をランキングしてみました。分子の買い残が大きく減ったか、分母の売り残が増えたか。どちらかっていうことなんですが、倍率でみるとこういうところが上に出てきます。この中では、地銀が結構多いですね。機関投資家は結構買ってるなっていう風に推測されるわけです。横河電気、あるいは日本航空電子という、どちらかという産業用電機、あるいは電子部品のコネクターを作っているようなハイテクのところにも少し売り残が積みあがっていて、もう1つ、積水ハウスのような、株価が最近急騰してますが、こういうところも結構積みあがりが顕著に見られます。


もう1つ見ていきます。今度は、11位から30位までです。やはり地銀が多いです。なかなか場に板が、売り物がさらされていないので、どうしても機関投資家は、まとめて銀行が欲しいと思えば、決め商い。証券会社のディーラーに頼らざるをえないところがあります。もう1つ、やはり電通とか、武田薬品とかですね。最近株価がすごく上昇している銘柄は、やはりバックに機関投資家のスポンサーというものがついてるなという印象が非常に強いですね。地銀の取り組みがこうなるっていうのは昔はあんまり見なかったですけど、最近そういう動きが目立ってきました。
個人の方がこういうものを情報として手に入れるには、日本経済新聞の毎週水曜日の朝刊に、証券面で信用残高がズラーっと発表されるんです。細かいデータではあるんですが、これを毎週毎週切り抜いて、丹念に根気よくスクラップブックに貼って、目星の銘柄を見比べていくとこの流れが掴みやすいなと思います。苦労なく、涙なく手軽にやっていこうという方は、インターネットをご利用の方は日経ネットがあります。日経ネットのマネー&マーケットというところに高機能スマートチャートというのがあるんです。


こちらの高機能スマートチャート(http://smartchart.nikkei.co.jp/) というチャートシステムを使いますと、信用残の動きというのが、バーンと一発で出てきます。


これが先ほどご紹介しました武田薬品の動きなんですが、株価がトヨタと並んで、株価の日本外国人買いを象徴する銘柄の1つに今なってきてます。やはりこれをみると今信用の売り残が膨らんで買い残が下回ってる。いわゆる売り長の状態。信用倍率が1倍を下回るという状態が見てとれるということになっていますね。