■マーケットウィナーズ(9/10放送)
テーマ: 新会社法から次にMBOを目指す企業は?
ゲスト:鈴木 一之(インフォストックスドットコム チーフアナリスト)

この6月、国会で成立したばかりの新しい会社法が上場企業の行動というものを大きく変えようとしています。ワールドという1部上場企業。ピカピカの機関投資家のコア銘柄として、非常に優良企業という位置づけだったのが、7月末にMBO。企業経営者が自分の会社の株を買い占めて非上場化してしまう。8月に入ると今度は、ポッカコーポレーションという飲料の会社が同じように投資ファンドを通じて非上場化する。要は上場してることのリスクというものが、M&Aの危険にさらされるということになってくるんでしょうね。そういう大きな起爆剤、インパクトをもっているのがこの新会社法ということになってくるんです。今までは、日本に会社法って存在しなかったんですね。商法の中の1部として会社の行動を規定する法律が明治32年からずっとあって、100年ぶりに大改正されて新しい会社法というものが1000ヵ条、1000本の条文によって設立された。その内容というのがいくつかあるんですが、大きいのがこれです。


株式会社の最低資本金を無くす。有限会社を認めなくするなど、いくつかの法改正があり、要は全部株式会社に1本化されるっていうのは法律としてあります。やはりマーケットにとって1番大きいのがこの2点、株式制度、全く新しい株式というものを作ってしまおう。そして合併対価、M&Aに対する金銭の支払い、お金の支払いを柔軟化していこうということ。これらが非常に大きな今回の会社法のポイントとなってきています。今、本屋さんなんか行きますと、新会社法の捉え方とかですね、平積みでダーっとでてますね。企業の中にいる法制担当の方っていうのは必死だと思うんです。


1番大きいのは合併です。合併対価の柔軟化っていうものが非常に大きく見られてまして、特に今回の法改正で1番大きかったのが三角合併の認可です。


親会社の下に子会社があります。親子があって、この子会社がある会社。ここではB社となってますが、これを合併する。このときに通常は、今の現行会社法ですと、子会社の株式とB社の株式を交換しあうんです。三角合併になりますと、親会社の株式をB社の株式と交換することで合併の対価にしても良いと、これが認可されるんです。そうしますと、例えば世界のマイクロソフトがアメリカに存在して、日本にあるマイクロソフトの子会社、日本のマイクロソフトが日本の電機メーカー、非常に赤字に喘いでるような会社を買収してしまうというようなケースが生じた時に、アメリカのマイクロソフトの株券を日本のB社の株主に渡せば、もうそれで済んでしまうという方法なんです。アメリカのマイクロソフトは買収で大きくなってきた会社ですが、現金を必要とせず、株券を印刷するだけで相手の会社を手に入れてしまう、それが日本でも通用してしまう。これが企業の内部にいる経営者を大きく揺さぶるような状況になってきています。外国の会社でも問題無く、日本に子会社があればそのつど合併、あるいは買収が促進されていくというところです。あまりにも衝撃が大きすぎるので、会社法自体は来年の4月からなんですが、この三角合併に関しては再来年の2007年から施工されるということになってます。ライブドア騒動と、その後の財界の危機感というものが非常に大きかったと思うんです。


そしてもう1つ、株式制度の見直し。これも今回の会社法の改正に盛り込まれたものなのですが、簡単にいきますと、譲渡制限の株式が盛り込まれました。今まではオールオアナッシングで、全く自由に売買出来る株式か、あるいは全部は譲渡制限付いてる株式だったんですが、今度は1つの会社の中に、日立なら日立の中に自由に売買できる株式と、譲渡するのに制限が付いてる株式というのが2つ存在するっていうことになりました。これは買収に対する予防策、防衛策としてこれから使われていくことになると思います。まだまだこれから多くなるんではないでしょうか。日本の会社は、上がったとはいえ、過小評価されている会社が多いですから。
ワールドは、7月25日、会社の経営者によるTOBが発表されまして、4,700円と値段が決まりました。それまで4,000円から、ちょっと相場で上がってたんですが、4,700円に決まったことで後はずっと横ばい。若干のプレミアムが付くような形で横ばいで入ってるって感じでした。だからこれは発表されてから買ってもあんまり魅力はないんです。


ワールドに似たようなものを探すのはなかなか難しいんです。要はここから先は、いかに合併対象会社を探すかということになってくる訳です。ワールドの財務構造というものを調べてみると、大体こういう風になるんです。ここに書いてある通りです。借金の比率が現金よりも少ないですから実質無借金会社ということになります。PBRは1.2倍位までにして、1番大事なのは筆頭株主が自社株であるということです。非常に熱心にこれまで自社株買いを何度も何度も行っていた会社、そして比較的小ぶりの会社、もう買収されるのを経営者が恐れているような会社をいくつか探してみました。


東京エネシスから始まりまして、3番目ぐらいには過小評価されてた東京スタイルが、まだまだ割安なんですね。ハイテク企業でもこういうところに入ってくる銘柄があります。

東証1部以外の銘柄で見てみますと、市場で別れていますのでPBRの小さい順に並んでいませんが、大阪、それからジャスダック、東証2部、盛り込まれていますね。
それよりも先ほどの東京エネシス0.6倍、1番上に出てくるような銘柄が最近の株価を見ても実際にずっと上がってるんですよね。相場に乗って上がってるっていうのもあるんですが、ちょうどワールドがMBOを発表したのがここら辺の時期だったんですよね。ちょうど見方によってはワールドのMBOによる非上場化に合せるような形で株価が上場しているところを見ると、現在のマーケットでは少しずつワールド的な会社を評価しているのかな、という感じもしますね。
よく狙われがちな会社ばっかりなんですが、公開している意味がいったいあるのかということなんです。それを胸に問うて公開するのか非公開にするのか、そこの辺りを経営者が決断していくと、そういう時代に入ってきたということだと思います。
今回はMBOという視点でしたが、価値としては山田さんが指摘しているM&Aレシオのもう少し拡張版だと思います。そういう意味では今回は比較的小ぶりな時価総額2000億円以下というハードルを比較的高くしてるんですが、これを取っ払っても別にいいのかなと。要するにM&Aする価値がある企業っていうのはもっといろいろありますから、もう少し間口を広げてスクリーニングしても、もっと色んな銘柄出てきておもしろいかと思います。

そして逆張り銘柄ということになると、サービスというセクターでダビンチアドバイザー、あるいはアセット・マネジャーズという、これは不動産投資ファンド、相当株価上がってますけど、それからTSUTAYAのカルチュア・コンビニエンス・クラブも株価相当上がってますけど、例えばコニカミノルタHDとか、電機の山武とかですね、あるいは天下の楽天とかですね、この辺は業績は良いのにまだ株価がそんなに伸びてない、逆張りで行くんでしたらこういうところにチャンスがあるんではないかと思います。