■マーケットブランチ(11月13日放送)
テーマ: 今後マーケットの鍵を握るオイルマネーの還流
講 師:
岡崎良介(フィスコアセットマネジメント 取締役)
高騰し続けた原油価格も、アメリカ大統領選前後からようやく下がり始めたようですが、それでもまだ40数ドルという高いところにいます。日本では石油が上がると企業業績が悪くなると考えがちですが、一方で、その石油によって恩恵を受けている国もあります。

アメリカ、日本などが世界の原油輸入上位国です。日本は第2位で世界中の輸入量の約10%を占め、輸入額は昨年約5兆円でした。世界全体では年間約50兆円で、この金額が輸入国から輸出国へと流れます。輸出上位国は、サウジアラビア、ロシア、ノルウェーです。

一般的に石油の原価計算は、原油の採掘コストで考えます。OPEC、ロシア共に約20ドルを基準にしています。これに対して、昨年のWTI平均価格は31ドルで、差額は11ドルになります。これに輸出量を乗じた金額が余剰資金=オイルマネーです。今年のWTI平均価格は今のところ41ドル、前年比で見ると10ドル上昇しています。一説によると、10ドル上がると約1500億ドルの余剰資金ができると言われています。これらオイルマネーの行き先は、輸出国の大半が中東諸国のため不明です。推測ですが、金、債券市場、株式市場などに投資されている可能性があります。

唯一公開されているのが輸出第3位のノルウェーです。1990年に石油基金を設立し、石油の余剰資金を使って国家財政のために資金運用しています。設立後14年経ち、累積額は9423億クローネ、日本円で約17兆円(1クローネ=18円)になっています。そのうち40%、約7兆円が株式運用されているそうです。

株式ポートフォリオは典型的な国際分散投資型です。株式40%の内訳は、アメリカ36%、次いでイギリスを除くEUが23%、イギリス、日本の順です。日本市場へは約8%で、約5600億円になります。

世界のマーケットへの影響としては金に注目です。金は財産の保全のために保有される要素が強く、中東各国では好まれる傾向にあります。金は5月あたりから急上昇しています。その他に、石油取引はドル建てが主流ですが、これがヨーロッパの株や債券などに運用されるとドル安ユーロ高になります。夏場ぐらいからユーロ高が進んでいますから、オイルマネーの還流は夏場から始まったと推定されます。

日本の個人投資家へのヒントは、サウジアラビアの皇太子の投資術です。アル・ワリード王子は1991年、シティバンクが倒産の危機に瀕した際に5億9000万ドルを出資、個人筆頭株主となりました。以降、アップルコンピュータ、フォーシーズンズグループ、ディズニーなどの有名企業に次々と長期投資を行っています。共通するのは、ボトムフィッシングという投資術です。つまり割安になった優良銘柄を買い込んで、値上がりをじっくり待つというスタイルです。これは大富豪のウォーレン・バフェット氏も同じ考え方です。
日本市場でも本来実力ある優良企業が一時的な業績不振に陥ったり株価が低迷して救済を仰ぎたいときに、どこかの王子様が現れるかもしれません。

ポジショントークではありませんが、ソニー、三共、NTTドコモ、みずほFG、近鉄の5銘柄に注目です。業績・株価が低迷しており、時価総額も大きいため魅力的です。オイルマネーのことを考えながら、且つフェット氏の投資術を実践すると、こうした銘柄に目が向きます。