■わくわく投資アカデミー(10月23日放送)
テーマ: 公募・売出から読むマーケット動向
講 師:
下地啓介(トレーダーズ・アンド・カンパニー 取締役)

株式市場は流通市場と発行市場から成り立っており、流通市場とは日々の株価売買の場、発行市場とは上場企業の資金調達の場を指します。後者は直接金融、つまり株式や社債などを発行し自己責任のもとで必要資金を直接調達する機能を担います。
今年のファイナンス(資金調達)状況を調べてみました。公募とは企業が新株を発行して資金調達することです。一方、売出とは既存の大株主が、例えば株主数を増やしたいといった名目で、個人投資家や外国人などに株を売却することです。これらは個人投資家にとって需給的に不安が残る材料と言えます。
今年の公募・売出件数によると、3月と9月は以前のファイナンスの償還(債務返済)などもあり、やや増加傾向にあります。ちょうど決算の時期に公募や売出を行う企業が多いためで需給不安になる可能性があります。一方、10月、11月は新規公開が増えています。11月には23社が予定しており、今年の中で最多です。今新興市場は非常に弱い状況にあるため、これだけ新規公開があると需給をゆがめる恐れがあります。

11月には大型新規上場銘柄が3社あります。NTT都市開発、エルピーダメモリ、国際石油開発の3社で、資金調達は合計約3,400億円にもなります。10月には新規上場した電源開発を買うために、他の電力セクターのものを売る動きが見られました。その意味からすると、不動産や半導体、石油セクターの中から売られる銘柄が出てくるかもしれません。連続する大型上場は懸念材料になると読んでいます。
12月や1月の年末年始は新規公開や公募売出が減る時期ですから、需給面から見ると11月が最後の正念場になるのではないでしょうか。逆に考えると11月というのは需給がゆるんで、業績的にはそれほど悪くなくても安くなる銘柄が出てくる可能性があります。今もかなり拾い場的なところですが、さらにもう一段階、来るのではないでしょうか。その後、年末年始にかけて需給は少し改善していく方向に行くと思います。