《 第26回 》 山本亭 東京都

国民的映画『男はつらいよ』の舞台として知られる葛飾区柴又。寅さんのキャラクターそのままのような下町風情溢れるこの街のシンボルでもある帝釈天の裏手に、本日ご紹介する山本亭はあります。

20年前までは、その名のとおり、山本さんご一家の住居でありました。カメラ部品の製造で財を成した実業家・山本栄之助氏の住居として建てられたこの建物は、大正15年から昭和5年まで増改築を重ね、昭和63年まで山本家4代が住んでいましたが、現在は葛飾区が保存、平成3年から一般公開されているのです。

木造瓦葺の2世帯住宅の形を持つ建物は、室内から庭園を見渡せるようガラス戸やガラス窓を多用した開放的なつくりになっています。そして庭園は、その建物から鑑賞する典型的な書院庭園になっており、縁先の近くには池泉、背後には緑濃い植え込みと築山を設けて滝を落としています。僅か270坪のこぢんまりとしたこの庭園は、米国の日本庭園専門誌「ジャーナル・オブ・ジャパニーズガーデニング」のランキングで、全国の数ある庭園を押さえ、2004年から3年連続3位にランクされています。往時の生活の様子を伝えてくれる建物と、大正ロマンを今に伝える庭園、ここにいると豊かでゆったりとした癒しの時間を楽しむことができるのです。