《 第25回 》 興禅寺 長野県

勇壮な自然がひろがる長野県の木曽路、江戸情緒が残る街並に興禅寺はあります。樹齢300年を超える木曽ひのきの古木が混じる山を背に、落ち着いた雰囲気をたたえる興禅寺。この寺は、1434年、平安末期の武将・木曽義仲の菩提のために復興され、木曽三大寺に数えられています。

境内には、複数の美しい庭園があります。江戸時代中期に金森宗和という庭師によって作庭された万松庭は、池泉鑑賞式の庭園で、池の周りには松を主体とした植え込みがあり、滝の水音が静けさの中に優しく響く、心和む癒しの庭園です。万松庭から庫裡を抜けると、日本一の広さを持つ枯山水庭園・看雲庭があります。

この庭園は、昭和を代表する作庭家・重森三玲によって昭和38年につくられました。京都・龍安寺の石庭を超える庭をつくる夢をもっていた三玲は、白砂で雲を表現しようと数々のアイデアを駆使して、美しい雲紋をつくりあげたのです。
境内にはこの他、地元の作庭家・小口さんによってつくられた庭園もあります。巨石をふんだんに使った剛健な風格漂う昇竜の庭と、9つの石組みで仏教の世界観を表現した須弥山の庭です。

江戸期、昭和、平成と、様々な時代につくられた庭園。興禅寺はまさに庭園の博物館とも言える癒しの場所です。