《 第17回 》 依水園 奈良県

古都の風情を色濃く残す奈良市水門町の依水園は、明治33年、奈良の豪商・関藤次郎のもと、裏千家十二世・ゆうみょう斎がつくりあげました。その後、海運業者・中村準策の所有となり、戦後米軍に接収。見るも無残に荒れ果てた庭園を再び中村家によって修復され、昭和50年に奈良唯一の池泉回遊式庭園として、国の名勝指定を受けました。

庭園から、御蓋山、春日山、さらには若草山や東大寺南大門が見渡せる依水園の名の由来は、敷地の横を流れる吉城川の水に“依って”せせらぎや池がつくられことで名付けられたと伝えられます。

池のかたちは草書体の“水”という文字をかたどっており、池の中島へと続く飛び石には、お米を挽いて糊をつくる石臼が使われています。そして依水園の景観に溶け込む巨石・礎石は、東大寺の建物を支えた礎石だったといわれています。ここは、1300年もの歴史のロマンが眠る庭園なのです。