《 第8回 》 醍醐寺三宝院庭園 京都府

京都の山科の里を見下ろす笠取山の深い森に囲まれた中に、80余りのお堂や社が点在する醍醐寺があります。

874年、弘法大師の孫弟子・聖宝が山の上に草庵を営んだことに始まる醍醐寺には、太閤・豊臣秀吉によってつくられた1600坪にも及ぶ三宝院の庭園があります。醍醐寺をこよなく愛した秀吉は、かつては室町将軍を補佐した細川家の庭にあった天下の名石・藤戸石を運びこみ、それを中心に理想の庭園をつくるよう命じ、平安時代から桜で有名だったこの地に更に700本もの桜の木を植え、盛大な花見、世にいう「醍醐の花見」を催しました。花見の後も、自分の好みの庭園が完成することを夢に見ながら造園を続けた秀吉は、花見の年の夏、完成を見届けることなくこの世を去ります。

この庭園には、雄大で豪華な文化が花開いた安土桃山時代に、足軽から天下人に上り詰めた秀吉の、理想郷への思いが詰まっています。