《 第3回 》 本土寺 千葉県

今からおよそ730年前に、日蓮上人の弟子・日朗上人を導師として開かれた名刹・本土寺の境内には、梅雨時になると3万本ものアジサイが咲き乱れます。
寺の間口には、350年前に建てられた仁王門が構えられ、仏教の守護神である阿行像と吽行像の2体の仁王様が寺を見守っています。アジサイの小道を抜けると菖蒲池があり、池を埋め尽くす6千本の花菖蒲。その美しさは、寺であることを忘れさせるほどです。
こんな本土寺ですが、ひどく衰退した時代もありました。明治維新後の廃仏毀釈で、一時は住職さえもいなくなり、寺はすっかりさびれてしまったのです。
そんな荒廃しきった本土寺を現在のような美しい寺に生まれ変わらせた人物がいました。本土寺住職の河上順光さんです。彼は最初に植えた桜の根を守るためにアジサイを挿し木しました。そして、その花を守るため何年もかけて土と格闘し、本土寺を復興させました。
この楽園のような本土寺の庭園、そこには荒れ野に生命を吹き込んだひとりの僧侶の思いがあったのです。