「抜け雀」(2008/2/21)

ふらりと旅籠に入ってきた男。見た目にも一文無し風なので、店の者としてもハラハラしていたのですが、案の定、5日たち、6日たちしても、男はいっこうに支払う気配がありません。
主人が「そこをなんとか」と食い下がると、男は、筆を所望します。
不審に思いつつ、主人が筆を渡すと、男はふすまに見事な雀を描きます。それはまるで生きているかのようで、今にもふすまから抜け出してきそうなほど、生き生きとしています。
描き終わった男は、「すまぬが、今は一文無し。この絵を譲るが、いいか、ご主人。この絵を欲しいという者が現れても、決して売ってはならない」
と主人に言います。
店の主人も心得たもの。男の描いた雀の見事さに感服し、なにも言わずに男を送り出しました。しばらくして、男の描いた雀がふすまから抜け出し、チーチーとさえずるという噂が広まり、その雀見たさで訪れる客も現れ、旅籠はたいそう繁盛します。さらにしばらくして、白髪の老人が旅籠を訪れ、ふすまの雀を見るなり、不憫だ、このままだと雀は死んでしまうと主人に言います。どういうことかと主人が問いただすと、老人は、
「なるほど確かに雀は見事に描けている。しかし、このままでは雀が体を休めるところがない」
老人は、主人から筆を借りて籠を描き、「これで、雀の休むところができた」と主人に言います。
その後も雀の評判は全国に伝わり、店はいつしか「雀旅籠」と呼ばれるまでになりました。
数年後、再び旅籠を訪れた男に、店の主人は感謝の言葉をかけつつ、老人の話をします。男はその話を聞いて、ニコリと笑い、その老人は私の父親だとうち明けます。
店の主人は、「こんなに立派な絵を描く息子を持って、お父様もさぞかしご満足でしょう」と男に言います。
すると男は、「いやいや、この歳になっても、まだ親に籠をかかせている」

三升家 小勝

本名 小林 守巨 (こばやし もりお)
生年月日 1938年 12月 06日
出身地 東京都
出囃子 井出の山吹
三升

芸歴 昭和三十二年 六代目三升家小勝に入門 前座名「勝二」
昭和三十五年 二ツ目昇進
昭和四十八年 真打昇進
平成六年九月 八代目「三升家小勝」襲名
北海少年院篤志面接委員
札幌税務大学特別講師
農林水産省特別講師 食糧庁特別講師

2003年7月 新宿コマ劇場 大月みやこショウ出演
2004年11月 京都南座 舟木一夫ショウ出演
2005年9月 大阪新歌舞伎座 天童よしみショウ出演
2006年2月 新宿コマ劇場 天童よしみショウ出演
2006年5月 名古屋美園座 天童よしみショウ出演
初高座 1957年
   場所 新宿末広亭
   演目 みそ豆
得意ネタ 大工調べ 源平盛衰記 蜘蛛駕籠 禁酒番屋 ねずみ穴 抜け雀
漫談:交通安全
趣味 釣り 魚拓 ゴルフ 日本画
自己PR
「交通安全」「人生と修業」「リサイクル」等の公演を行っています。