宿屋の富(2008/2/7)

銀行に就職して、まずやらされることは、「大金を目の前にしても動じない」という訓練なのだそうです。実際、数字で1億円と言われても、桁が大きすぎてピンときませんが、1万円札の束で1億円出されると、よほどの人でないと動揺してしまうのだそうです。もっとも、僕なんかは10万円でフラフラっとしてしまいますけれど。「おい、お二階のお客さまは、どうした」
「お客さま? 外から帰ってくるなり、寒気がするって、おやすみになっているよ」
「あのお客さま、千両当たったんだよ!」
「千両? へぇ、運がいいねぇ。でも、人のお金じゃ仕方ないでしょ」
「それが、お前、俺はあの人と千両当たったら半分もらう約束をしたんだ。いいから、酒の用意をしときな。魚もいいのを買っといで。俺はお客さまを起こしてくるから。……お客さま、お客さま。もしもし、起きてください。千両当たりましたよ。お客さま!」
「なんです、騒々しい。千両ぐらいで騒ぐものじゃないですよ。約束? えぇ覚えていますよ。500両は、ちゃんとあげますよ。だから、もうちょっと落ち着きなさい。せめて、下駄ぐらいぬいでから部屋にあがってらっしゃい」
「お客さまは、お金持だからそんなに落ち着いていられるんですよ。とにかく、下にお酒の用意をしてありますから、起きてください」
そういって、宿屋の主人が布団をめくると、草履をはいたまま寝ている客の姿が……。

瀧川 鯉昇

本名 山下 秀雄 (やました ひでお)
生年月日 昭和28年 2月 11日
出身地 静岡県浜松市
出囃子

芸歴 1975年4月 9代目 小柳枝入門
             春風亭柳若
1977年1月 現 柳昇門下へ
1980年2月 二ツ目 春風亭愛橋
1990年5月 真打 春風亭鯉昇
2005年1月 瀧川鯉昇と改名

得意ネタ 味噌倉、船徳、宿屋の富、茶の湯、うなぎ屋
趣味 旅行
自己PR はじめて聞く人にわかりやすい噺を心がけています。