禁酒番屋(2008/1/17)

ある藩で、酒の上の刃傷沙汰が起きたというので、藩士一同に禁酒令が出された。しかし、なかなか禁令が行き届かず、隠れてチビリチビリやる者が続出。それではと、城門のところに番屋を設け、出入りの商人の持ち込む物まで厳しくチェックされることになり、いつしか、人呼んで「禁酒番屋」。家中第一ののんべえの近藤という侍、屋敷内ではダメなので、町の酒屋でグイッと一気に三升。禁酒令糞くらえで、酒屋の亭主に、拙者の小屋まで一升届けてくれと頼む始末。亭主も無下には断れないが、見つかれば営業停止を食らうし、第一番屋を突破する方法を思いつかない。困っていると、番頭がうまい知恵を出す。五合徳利を二本菓子折りに詰め、カステラの進物だと言って通ればよいという。まあやってみようというので、早速店の者が番屋の前に行ってみるが……。番人もさるもの。家中屈指のウワバミにカステラの進物とは怪しいと、抗議の声も聞かばこそ、折りを改められて、「これ、この徳利は何じゃ」「えー、それはその、水カステラてえ新製品で」「水カステラァ?たわけたことを申すな。そこに控えおれ。中身を改める」一升すっかりのまれてしまった。カステラで失敗したので、今度は油だとごまかそうとしたが、これも失敗。都合二升もただでのまれ、腹の虫が治まらないのが酒屋の亭主。そこで若い衆が、今度は小便だと言って持ち込み、仇討ちをしてやろうと言いだす。正直に初めから小便だと言うのだから、こちらに弱みはない。「……ご同役、実にどうもけしからんもので。初めはカステラといつわり、次は油、またまた小便とは……これ、控えておれ。ただ今中身を取り調べる。……今度は熱燗をして参ったと見える。けしからん奴。小便などといつわりおって。かように結構……いや不埒なものを……手前がこうして、この湯のみへついで……ずいぶん泡立っておるな。……ややっ、これは小便。けしからん。かようなものを持参なし……」「ですから、初めに小便と申し上げました」「うーん、あの、ここな、正直者めが」



鈴々舎馬風

本名 寺田 輝雄 (てらだ てるを)
生年月日 1939年 12月 19日
出身地 千葉県野田市
出囃子 本調子のっと
鈴、裏梅

芸歴 昭和31年12月 五代目柳家小さんに入門 前座名「小光」
昭和35年 3月 二ツ目昇進 「かゑる」に改名
昭和48年 真打昇進
昭和51年 十代目「鈴々舎馬風」を襲名
昭和54年 社団法人落語協会理事に就任 後進の育成に力を注ぐ
平成13年 社団法人落語協会副会長就任
平成18年 社団法人落語協会会長に就任
初高座 1957年 02月 01日
   場所 新宿末広亭
   演目 手紙無筆
得意ネタ 禁酒番屋 親子酒 猫の災難 自作落語「会長への道」
趣味 柔道、空手
自己PR 「笑点」「やじうま寄席」「街かどテレビ」やプロレスの呼び出しで人気落語家となる。
後輩や弟子の面倒見の良さは随一。高座では、自作「会長への道」などで、楽屋にいる先輩、同僚を主役に当意即妙なアドリブで寄席を沸かしている。明るく豪快な高座には定評がある。その他演歌、百面相、物まね、形態模写、司会など余芸も多彩である。
平成八年には芸歴四十周年を期して落語と同名の「会長への道」を執筆、前座の修業時代から現在に至るまでの回想録。笑いあり涙ありの随筆。小学館より好評発売中。
ホームページ http://bafuitimon.com/