寝床(2007/12/20)

日本橋は横山町に呉服屋のご主人がおられて、実に温厚な方だったのですが、ただ一つ問題は、義太夫がお好き。好きなのは構わないのですが、お世辞にもお上手とは言えない。ところが、困ったことに、ご自分では免許皆伝だと思われているものですから、夜になると、店のものを集めてお聴かせになる。その夜も、声を張り上げていると、店のものがシーンとなる。感に堪えて聴き入っているのだろうと、ひょいと見ると、みんな寝てしまっている。怒った主人が、ふと見ると、12、3の小僧さんがしくしくと泣いています。「お前は偉いねぇ。だいの大人が、不作法にも寝ている中で、お前だけが義太夫の悲しいところに身につまされて泣いているんだね。もう泣くんじゃない。どこが悲しかった? 『馬方三吉子別れ』のところか?」「そんなとこじゃない」「それじゃ、『宗五郎の子別れ』か? そうじゃない? どこだい?」
「あすこです。あすこなんです(と、左手で前方をさす)」「あそこは、あたしが義太夫を語ったところじゃないか」「あたくしは、あそこが寝床なんです」

橘家圓蔵

本名 大山 武雄 (おおやま たけお)
生年月日 1934年 04月 03日
出身地 東京都江戸川区平井
出囃子 虎退治
三つ組橘

芸歴 昭和27年12月14日 月の家円鏡(先代圓蔵)に入門 竹蔵
昭和30年 9月    二つ目昇進 橘家升蔵
昭和40年 4月    真打昇進 月の家円鏡
昭和58年       橘家圓蔵 襲名
平成18年より落語協会相談役
初高座 1952年 08月 30日
   場所 川崎演芸場
   演目 寿限無
得意ネタ 死神、らくだ
受賞 放送作家賞
趣味 料理、落語
自己PR 落語会、独演会、講演など日本中、全国展開で活躍中!