世界遺産・シルクロードから薬師寺へ ~1400年の時を越え甦る幻の仮面劇~

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情報・ドキュメンタリー
1月1日(金)朝5時30分再放送

出演

俳優 田村亮

番組概要

幻の仮面劇の舞台となった世界遺産・薬師寺01およそ1400年前、唐からインドまでシルクロードを旅して「大般若経」を持ち帰った三蔵法師こと玄奘三蔵。その玄奘三蔵を始祖とする法相宗の大本山が世界遺産の薬師寺である。

寺内の玄奘三蔵院には玄奘三蔵の遺骨が納められ、平山郁夫画伯が「大唐西域壁画」を奉納している。ここでは毎年5月、玄奘三蔵の功績を讃えるための大祭『玄奘三蔵会』が行われる。『玄奘三蔵会』は、長きに渡って途絶えていたが、次世代への継承をねらいとして平成4年に復活し、玄奘三蔵のインドへの旅を描いた幻の伝統演劇『伎楽』を中心に繰り広げられる。

2014年の大祭は玄奘三蔵没後1350年という節目であるとともに、110年ぶりに解体修理を行っている東塔の無事祈願を兼ねており、薬師寺にとってこれまで以上に大きな意味を持つ。神聖な“門外不出の儀式”であった伎楽。これまで決して入ることが許されなかったこの伎楽の大祭は、衣裳、染色、仮面や経典などの小物、作法や儀礼に至るまで、遠くシルクロードの様式を汲んでいる。丁度、シルクロードは世界遺産に登録されたばかりだ。

かつてない規模で執り行われる2014年の大祭。これまでは玄奘三蔵院で800人ほどの観客の前で行われていたが、今回は薬師如来が鎮座する金堂と弥勒菩薩が収められている大講堂の間に巨大なステージを組み、2000人の観客を集めて催された。更に、従来は5月5日のみの開催であったが、今回は4、5日と2日に渡って行われた。大祭の伝統継承にかける人々の思いと挑戦。次世代への絆。リハーサルから準備、本番当日の臨場感あふれる現場に初めて独占取材のカメラが入った。

番組内容

<幻の伝統演劇・伎楽> 
伎楽は、中国大陸から聖徳太子の時代に伝わった仮面舞踊劇で、仏の教えを広めることが目的であった。奈良時代には各大寺は競って伎楽団を抱え、大法会の際には仏前で盛んに上演した。中でもハイライトは752年の、東大寺大仏開眼を祝う大法会。この時、60人の伎楽団が繰り広げた伎楽は、百雷の拍手を呼んだという。その伎楽は雅楽に押され、鎌倉時代には殆ど上演されることがなくなってしまった。その幻の伝統芸能をかろうじて今に繋いでいるのが、インドまで大般若経を求めて旅をする玄奘三蔵の姿を演じた薬師寺の大祭の演目「三蔵法師 求法の旅」である。
幻の仮面劇・伎楽幻の仮面劇・伎楽…獅子舞との共通性 

<大祭への挑戦~シルクロードの文化を今に繋ぐ>
 
幻の演芸の上演に結集したのは、各分野の第一人者や専門家たち。中でも特筆すべきは、西域からシルクロードを通って伝わった伎楽の再現である。特に拘るのは、衣裳や仮面などの小道具。担当する染色家の吉岡幸雄氏は、敢えて天然の素材で当時の装束を用意するが、特に紫の色には細心の注意を払い、中国産の紫草の根を使うという。中国で紫が高貴な色となったのはシルクロードの出発点ローマ帝国の影響と考えられている。更に、新疆ウィグル地方から出土した文物や正倉院の織物を参考にしながら、“多色夾纈(たしょくきょうけち)”という幻の技法で花菱文を染め出す。面は正倉院の伎楽面を元に、木彫と和紙という二種類の面を用意する。笛や腰鼓、鉦盤などの楽器も全て、シルクロード様式の当時のものを復元する。振り付けに関しては、資料も文献も残っていないため、60年以上の伝統を持つ天理大学雅楽部の佐藤浩司氏が、雅楽から推測し復元する。
奈良時代に使われていた貴重な伎楽面奈良時代に使われていた貴重な伎楽面2










<22年目の絆・玄奘三蔵役の俳優は…>

伎楽を演じるのは、天理大学雅楽部の学生たち。若者たちに文化は継がれてゆく。声明は、これまでは薬師寺の僧侶が担当していたが、今回は特別に副住職である村上太胤自らが行う。そして22年前に初回を演じた俳優・田村高廣の魂を引継ぎ、今回の玄奘三蔵法師役は、弟である俳優の田村亮が演じる。多くの人々の思いと挑戦がひとつとなって、1350年の時を超えた玄奘三蔵の「平和への祈り」が具現化されてゆく・・・。
仮面劇で三蔵法師役を務める田村亮仮面劇で三蔵法師役を務める田村亮2