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    概要

    戦後80年、日本が焦土からの復興を目指す中、映画と歌で夢と希望を与えたのが美空ひばりである。ひばりは生まれ故郷、横浜で大空襲を体験。父は徴兵で海軍に入隊。こうした背景もあり常に平和への思いを抱いていた。なかでも、太平洋戦争で約20万人の犠牲者を出した沖縄に対する思いは特別だった。

    その沖縄初公演が実現したのは昭和31年8月、ひばり19歳の時。早くから公演の依頼は来ていたがスケジュールの調整がつかずにいた。ところが映画撮影の予定変更で日程が空き、ひばりは自ら沖縄公演を申し出たのだ。
    公演は7日間でおよそ5万人を動員。ひばりの来島で街はお祭り騒ぎ。会場となった映画館の前は長蛇の列が出来、中には遠く離島から船で駆け付けた人もいた。ひばりは映画の主題歌やヒット曲を熱唱しファンの思いに応えた。

    さらに、「ひめゆりの塔」や「沖縄師範健児之塔」を訪れ慰霊、手を合わせた。その時の思いを手記にこう記している。
    「いまさらのように、戦争の恐ろしさ、悲しさをしみじみと感じました。」
    「どんなにか心残りにして死んでいったのであろう。同胞のごめい福を再び心から祈ります。」
    「戦争はもう決して起こさないで下さいと世界の人たちに呼びかけたい気持ちです。」

    ひばりは、生涯5回に及ぶ沖縄公演の他、日劇や新宿コマ劇場公演でも沖縄をテーマにしたコーナーを設け、その思いを表した。
    今回、取材の中で、沖縄が日本に返還された昭和47年に日劇公演で「安里屋ユンタ」を歌うひばりの貴重音源も見つかった。

    その沖縄で今年4月、「戦後80年 美空ひばり 平和祈念コンサート」(主催・ひばりプロダクション)が開催された。参加したのは、ひばりをリスぺクトする沖縄出身のアーティストたち。夏川りみ、島袋寛子、かりゆし58、喜納昌吉がひばりを語り、ひばりに歌を捧げた。

    番組では美空ひばりの平和への思い、沖縄への思いを、手記や資料、沖縄公演を観たファンの証言などをもとに紹介します。さらに「平和祈念コンサート」の様子も伝える。

    ※美空ひばり…1937年(昭和12年)5月29日生 - 1989年(平成元年)6月24日没 享年52

     

    紹介楽曲

    人生一路 真赤な太陽 悲しき口笛 東京キッド ひばりが唄えば リンゴ追分 津軽のふるさと 唄入り観音経 やくざ若衆祭り唄 お祭りマンボ 素敵なランデブー 越後獅子の唄 愛燦燦 恋人よ我に帰れ LOVER, COME BACK TO ME 港町十三番地 関東春雨傘 あの丘越えて 柔 安里屋ユンタ ある女の詩 花風の港 糸満かもめ ひばりのマドロスさん 一本の鉛筆 白い勲章 おまえに惚れた われとわが身を眠らす子守唄 川の流れのように ほか

    (コンサート出演者歌唱曲)
    愛燦燦/かりゆし58 花風の港/夏川りみ われとわが身を眠らす子守唄/島袋寛子 花~すべての人の心に花を~/喜納昌吉

     

    出演者コメント

    夏川りみ

    私は小さい頃から歌手になることが夢で、美空ひばりさんのように誰からも愛されるような歌手になれたらいいなという私の憧れの存在でした。どの世代からもすごく愛されていて、日本だけではなく、世界中でひばりさんの声を待っている方がたくさんいるという話をよく耳にしましたし、何を歌われても何をされても本当に完璧な方だったということも聞きました。今回歌わせていただく「花風の港」は、改めて、難しいというのが本音でした。私も演歌を歌ったり、いろんなジャンルにチャレンジしたりしているんですけれども、ひばりさんのような節回しを奇麗に回しながら歌いたいなと思いながら、ずっと聴かせていただいて、簡単そうに見えてすごく難しい曲だなというのを今回改めて感じました。

    島袋寛子

    美空ひばりさんの印象は小さい頃から変わらず「歌姫」や「歌神様」のような圧倒的な存在です。以前、ひばりさんが涙を流しながら歌っている映像を見たのですが、声がぶれない。涙を流しても声がぶれることなく歌を伝える、歌声に感情を乗せて届けるってすごいなと思っていました。
    今回「われとわが身を眠らす子守唄」を選んだ理由は、「不死鳥コンサート」でこの歌を歌われているひばりさんの映像を見たときに、衝撃というか、感動というか、涙があふれて、私の中でこの曲を歌うひばりさんが一番好きだと感じたことと、この曲を歌うと、ひばりさんとつながれる気がして選ばせていただきました。

    かりゆし58

    美空ひばりさんは「不死鳥」であり「音楽の偉人」であり「時代の灯り」だと思います。 ひばりさんが沖縄にいらした頃は、時代的に沖縄にも、ものすごくいろんな波が押し寄せていたときで、その小さな島の、しかも独特の文化歴史を持つ沖縄の人にも普遍的な、しかも日本語の美しい音楽を届けてくれたというのは、沖縄の島唄、三線に負けず劣らず、大事な宝物をこの島にくれた人だと思います。
    このお話をいただいて、どの曲にするか悩んでいた頃、偶然渋谷のバーで海外の方に囲まれて「愛燦燦」を演奏しているバンドのライブを見ました。海外の方がワーッと沸いているのを見て、美空ひばりさんの曲がこういう形でこういう人たちに届いているという様を見て、この巡り合いの島、沖縄で再現できたらいいなと思い「愛燦燦」を選ばせていただきました。

    喜納昌吉

    美空ひばりさんの歌声には、歴史が全部詰まっていると思います。
    声の中に戦後の苦労、また希望が詰まっています。自然に体の深いところに抵抗なしに入ってくる。
    ひばりさんを知らない人はいないですよね。ジャンルを超えて尊敬できる方です。

     

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