第28回 北京再訪 
1959年12月、中華人民共和国政府と中国共産党により、思想改造に成功した戦犯に対する特赦と釈放の式典が盛大に行われた。中国最後の皇帝・溥儀(ふぎ)もまた、この日特赦を受け釈放される人々の中に加わっていた。式典から5日後、生まれ変わった彼は喜びを胸に再び故郷・北京に足を踏み入れ、参列した国家指導者と特赦を受けた戦犯たちの接見は溥儀に深い印象を与えた。一観光客として故宮を訪れた溥儀。彼が幼少より長い時間を過ごしたかの紫禁城を前にして胸に湧き上がるは無量の感慨。晴れ晴れとした心をもって人の群れの一部となった彼は、すぐに人波の中にまぎれ込んで見えなくなっていった。 |