
袁世凱(えんせいがい)は中華民国大総統に就任した。
だが袁世凱は清朝王室に対する優遇措置を温存したため、
中華民国という新しい国の中で孤立する紫禁城の溥儀(ふぎ
)は依然として皇帝のままであった。すでに少年に成長してい
た皇帝・溥儀は、やはり堅固に閉じられた城内の世界しか知
らない。大清帝国復活を諦めない隆裕(ロンユイ)太后は溥儀
に家庭教師を招聘し、溥儀の弟・溥傑(ふけつ)を宮殿に呼び
出して学友として共に封建的教育を受けさせ、君臣の倫理を
叩き込んだ。このことは二人から徐々に親兄弟に対する一般
的な情を消し去り、溥儀と溥傑の関係はいつしか皇帝と臣下
のそれへと変化していった。こうして溥儀は次第にありふれた
人の情を失っていった。