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9月7日 #45 個人情報

講義余禄

個人情報を巡る議論が新たな段階に入っています。データ解析技術が発達し、膨大な量のデータ、いわゆるビッグデータを蓄積し様々な用途に活用できるようになりました。データ解析結果を生かせば、人々の生活を一変させるような斬新なサービスが生まれるかもしれません。ただ一方で、個人の日常が外部にさらされやすくなったのも事実です。データ活用によるメリットとリスクのバランスをどうとるかは難しい問題です。日本経済新聞でも折に触れて関連の記事が掲載されています。
★「データは誰のものか 上~下」(2013年12月22~24日)
★「ビッグデータ活用で成長めざせ」(2014年7月22日)
ビッグデータ解析の対象は、日々の買い物の履歴から、携帯電話を持って立ち寄った場所、インターネットの閲覧状況まで、あらゆる生活シーンに広がっています。これを詳細に解析することで、消費者の行動パターンがわかり、新たな需要創造のヒントがみえてきます。例えば、米国で急速に普及しているスマートフォンを使った決済サービス。消費者の利便性向上という利点もさることながら、このサービスの最大のメリットは手軽に購買履歴のデータを獲得できることにあります。情報化の進んでいなかった町の小規模レストランでも、大手流通チェーンのようなデータ分析ができ、メニュー開発や顧客サービスに生かせるようになったのです。
★「ビッグデータ、民間で活用ルール」(2014年6月10日)
★「スマホ決済の実力 下 個人商店でも顧客分析」(2014年8月30日)
大手の交流サイトやポータルサイト、携帯電話会社などには解析しきれないほどの膨大なデータが日々集まっています。データ解析の技術がさらに進化していけば、これらのデータを重ね合わせていくことで、より「個」に迫ることもできりょうになるでしょう。氏名、住所といったいわゆる従来型の個人情報を守るだけでは、安心して生活できない時代になるかもしれません。データ解析による革新を止めないためにも、誰もが納得するようなルール作りを急ぐべきでしょう。
★「個人情報保護、世界と足並み」(2013年11月22日)

参考図書

タイトル 著者 出版社
ビッグデータの衝撃 城田真琴著 東洋経済新報社
個人情報保護法の現在と未来 石井夏生利著 勁草書房