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8月31日 #44 経済成長の罠

講義余禄

急拡大を続けてきたアジアの新興国の成長ペースが鈍化しています。世界経済のグローバル化が進み、それぞれの国の経済に今までとは違った力や論理が働くようになったためです。この現象は「中進国の罠」と呼ばれています。低迷から抜け出すには何が必要なのでしょうか。アジア経済の現状と今後は、日本にも大きく影響するだけに、日本経済新聞でも折に触れて関連の記事が掲載されています。最近では政情不安がクーデターに発展したタイが代表例でしょう。
★「富の偏在、タイ混迷の温床」(2014年1月30日)
★「タイ経済、混乱は回避」(2014年6月21日)
タイではクーデターの影響で観光産業が大打撃を受けているようですが、製造業などは落ち着きを取り戻しつつあるようです。タイの事例は、経済の急成長で蓄積された歪みが一気にはじけたものでした。都市部と地方の格差拡大といった問題を抱えているのはタイだけではありません。他のアジア諸国や中南米、アフリカ各国も遠からず同じような状況でしょう。経済全体が急成長し続けているなら、こうした問題は顕在化しにくいのかもしれません。講義で説明した「中進国の罠」といった状況に陥り、成長に陰りがみえてきた時が要注意なのです。各国で同時多発的にこうした問題が生じれば、世界全体の経済にも悪い影響を与えます。
★「世界経済 3.4%成長に減速」(2014年7月25日)
各国が固有の問題を抱える一方で、周辺諸国とのより積極的な経済連携で高い成長の維持を目指すといった動きも出てきています。南アジアの人口は約16億人。これがひとつの経済圏としてまとまれば、市場としても生産拠点としても世界での存在感が高まります。こうした動きのなかで、日本がどう立ち回っていくのかにも注目したいものです。
★「日印で『アジア経済回廊』」(2014年1月20日)
★「ASEAN外相会議が合意、経済共同体へ準備加速」(2014年8月9日)

参考図書

タイトル 著者 出版社
経済成長という病 平川克美著 講談社現代新書
経済成長は不可能なのか 盛山和夫著 中公新書