5月18日 #29 企業会計の国際化
ソフトバンクが7日発表した2014年3月期の連結決算は、営業利益が前の期比4割増の1兆円超になりました。純利益も5000億円を超え、初めてNTTドコモを上回りました。この躍進の背景にあるのが会計基準の変更です。ソフトバンクが採用した国際会計基準(IFRS)は、企業買収に伴うのれん代を費用計上しなくてもよいなど日本の基準と異なる点がいくつかあります。ソフトバンクの利益も、買収に伴う巨額ののれん代を費用計上していれば、ここまで膨みませんでした。ソフトバンク以外でも富士通、エーザイなど日本企業のIFRS採用が相次いでいます。世界で資金調達、M&Aの積極化など理由は様々ですが、IFRS効果で大幅な増益になるケースが目立ちます。日本経済新聞でも折に触れて報道されていますが、こうした見かけの数字の変化だけにとらわれず、その裏の構図も押さえておきたいものです。
★「ソフトバンク 営業益1兆円」(2014年5月8日)
★「富士通 純利益10%増」(2014年5月1日)
日本にはIFRSを含め、3つの会計基準が併存しています。同じ業種でも、企業によって採用している基準が異なるため、利益水準などを比較するときには注意が必要です。企業会計基準委員会では、IFRSを一部修正した日本版IFRSの作成についての議論も進んでいます。これについては産業界などにも賛否両論があるようで、議論がどう展開していくか不透明ですが、4つの基準が混在することが問題だとする声は多いようです。
★「わかる財務(7) 会計基準でどう違う?」(2014年4月10日)
★「日本版IFRS、具体案の議論へ」(2013年11月22日)
国に納める税金がいくらなのか決める税務会計の基準が国ごとに違うのはわかります。ただ会計基準は世界の投資家が投資判断の材料として使うものです。だからこそ、異なる基準が乱立するのはやはり好ましくありません。会計の専門家によると神学論争のようなものだそうですが、マネーのグローバル化が急速に進んだ以上、それを支えるインフラともいえる基準の整備を急ぐ必要があるはずです。議論がどう進むのか、注意深く見守る必要があるでしょう。
★「企業会計の活用と課題 異なる日本ののれん処理」(2014年3月12日)
| タイトル | 著者 | 出版社 |
|---|---|---|
| IFRSと日本的経営 | 正司素子 | 清文社 |
| 国際会計基準戦争 | 磯山友幸 | 日経BP社 |

