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4月20日 #25 G8/G20

講義余禄

主要8か国(G8)首脳会議の前身であるG5が発足して約40年。先進主要国の集まりは、1985年のプラザ合意など世界の経済史の節目で大きな役割を果たしてきました。この組織が今、転換期を迎えています。アジアや南米の新興国が急成長し、一部の先進国だけでは世界経済を動かせなくなってきたためです。変わって影響力を高めているのが、日米欧の先進国に中国やインドなどを加えたG20です。2009年にはG20の首脳が一堂に会すサミットも始まりました。今年は11月にオーストラリアでサミットが開催される予定で、参加各国はそれまでに「世界経済の成長率を5年で2%以上底上げ」という目標実現に向けた具体的な計画をまとめることになります。2月には財務相・中央銀行総裁会議が開かれ、日本経済新聞でも大きく報じられました。
★「新興国に構造改革促す」(2014年2月20日)
★「G20 成長目標を明記」(同年2月24日)
もちろん、G8が影響力をなくしてしまったというのは早計かもしれません。20か国・地域が集まるG20では、それぞれの国の利害調整が簡単でなく、より踏み込んだ姿勢や統一目標を打ち出すのは至難です。存在感が薄れた分、小さい所帯の主要国の集まりが水面下で動きやすくなったとの指摘もあるようです。実際にどんな話し合いがなされているのかはわかりませんが、世界経済を大きく動かす可能性もあるだけに、節目となる会議のスケジュールやその時に何が話題の中心になるのかは押さえておきたいものです。G8の決定は条約とは違うため、法的な拘束力はありませんが、経済協力開発機構(OECD)や世界貿易機関(WTO)でのルールづくりにも強く影響します。
★「真相 節税防止、企業かみつく」(同年4月4日)
ただ、中長期でみれば、先進主要国の影響力の低下は避けられないでしょう。今春にはロシアがウクライナに軍事介入したことに欧米諸国が反発を強め、G8体制の解体が叫ばれる場面もありました。ロシアがこれをほとんど意に介さないのも、先進主要国の集まりの一員であることの意義が薄れてきたためでしょう。新たな世界秩序がどうなっていくのか、注意深く見守る必要があります。
★「Gゼロ 漂流する世界」(同年3月26日)


参考図書

タイトル 著者 出版社
G20の経済学 中林伸一 中公新書
『Gゼロ』後の世界 イアン・ブレマー 北沢格訳 日本経済新聞出版社