3月29日 #22 経常収支
経常収支はモノやサービス、配当など海外との取引を総合的にまとめた指標です。日本は1980年代以降、車や家電製品の輸出を大きく伸ばし、経常黒字を維持してきました。ところが1月には4か月連続の赤字となり、赤字幅も比較可能な1985年以降で最大でした。日本経済が大きな転機を迎えているのかもしれません。電力需要が一服する2月には黒字に戻るとの分析もあるようですが、赤字の悪影響への警戒感が強まっています。日本経済新聞でも折に触れ、関連の記事が掲載されています。
★「円安下、縮む経常黒字」(2014年2月11日)
★「経常赤字、懸念じわり」(同年3月11日)
経常収支が悪化した最大の原因は、原子力発電所の稼働停止で、火力発電に使う燃料の輸入額が急増していることです。もっとも、これだけなら一時的な要因ですむかもしれませんが、足元では、メーカーが製造拠点を海外に移すといった構造変化も起きています。円安になっても輸出が伸びず、貿易収支が改善しないのは産業の空洞化が進んできたためだとの指摘は多いようです。
★「進む空洞化、輸出伸びず」(同年1月15日)
★「大機小機 原発再稼働と経常収支」(同年3月19日)
高齢化で貯蓄率が下がっていくと、投資などで海外に出回る日本のおカネが減り、大幅な黒字が続いている所得収支も悪化の公算が大きくなります。経常収支の赤字が定着したら、日本経済はどうなってしまうのでしょうか。黒字が長く続いたため「赤字」という過剰に反応してしまいがちですが、ここはその影響を冷静に、中長期の視点で考えることが重要でしょう。
★「経常赤字の足音 上~下」 (同年2月12日~15日)
| タイトル | 著者 | 出版社 |
|---|---|---|
| 日本の国際競争力 | 伊藤元重編 財務省財務総合政策研究所編著 |
中央経済社 |
| 製造業が日本を滅ぼす | 野口悠紀雄 | ダイヤモンド社 |

