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2月15日 #16 金融緩和とお金の流れ

講義余禄

「内部留保として企業がため込んだお金を、もっと賃金や投資に回せばいい」。近年、こうした指摘が盛んになされています。ただ、内部留保はすべて現金としてため込まれているわけではありません。過去を振り返ると、その多くはすでに海外への投資に費やされています。そこで産業界のさる重鎮は「アベノミクスの効果が表れてきた今こそ、日本の企業は投資先の重点を海外から日本に移すべきだ」と提言されています。今いちど、企業トップは国内経済の本格的な活性化に向けてリスクを張ったらどうか、というわけです。
実際、日銀の金融緩和効果だけでなく、景気が回復基調に転じたこともあり、企業の投資余力は徐々に高まっているようです。同時に、まだ限られた分野ではありますが、産業のすそ野の部分でも資金需要が膨らみつつあります。
★「企業の手元資金膨らむ 収益改善で」(2014年1月16日)
★「融資 中小にも広がる 資金需要強く」(同年2月6日)
もっとも、製造業を中心とした多くの国内企業にとっては、なかなか有望な国内投資先が見当たらない、というのが実情のようです。長年にわたる主要産業の空洞化は経済のグローバル化に伴い、容易に後戻りできないところまできています。その一端は最近発表された経常収支にも表れています。
★「円安化、縮む経常黒字 海外生産加速、輸出勢い欠く」(同年2月11日)
一方で、講義でも触れたように、M&Aを中心とした海外投資に伴う資金需要は今後もますます膨らむでしょう。
★「サントリーに1.4兆円融資 三菱UFJ、単独で最大級」(同年1月16日)
多くの日本企業はこれから世界を相手とした競争を勝ち抜いていかねばなりません。こうした状況下においては、金融緩和がマネーフローにもたらす変化を従来のセオリーだけでは正確に見通すことができなくなるでしょう。例えば次のような現象も今後は顕著になっていく可能性があるのですから。
★「資金、アジアで現地調達 為替リスクを回避」(同年1月19日)


参考図書

タイトル 著者 出版社
非伝統的金融政策の経済分析 竹田陽介、
矢嶋康次
日本経済新聞出版社
超金融緩和のジレンマ 梅田雅信 東洋経済新報社