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12月28日 #9 消費者物価

講義余禄

消費者物価指数は「経済の体温計」とも言われます。様々な経済政策を決定するうえでの重要な指標であり、総務省のCPI以外にも様々な指数が計算され、活用されています。ただ、今回の講義でも触れたとおり、それぞれの指数にはクセがあることに留意しなければなりません。
総務省のCPIなどは、対象品目の組み合わせ(バスケット)を固定し、その価格の変動を指数化する「固定バスケット」方式をとっています。一方、GDPデフレーターや、店頭で調べた一番の売れ筋を対象とする東大の日次物価指数は、品目の組み合わせを随時変える「変動バスケット」方式です。講義でも説明しましたが、固定バスケットは対象品目に対する需要の増減は反映されず、価格上昇で売れ行きが大幅に鈍った品目なども指数の対象であり続けるので、実際の消費者の肌感覚とはややズレる可能性もあります。一方、売れ行きなどによって対象品目を入れ替える変動バスケットは、「お米が高くなったからパンを買おう」といった、消費者の代替購買行動も反映されます。こんなクセも知っておくと、物価指数の見方がより正確になるでしょう。総務省統計局のホームページにある「消費者物価指数のQ&A」には、CPIを中心にこれら物価指数に関する基礎情報が掲載されています。(http://www.stat.go.jp/data/cpi/4-1.htm)
足元ではアベノミクスの効果もあり、消費者物価指数がジリジリと上がっていますが、主因の一つは輸入物価の上昇です。これが需要拡大による物価上昇へと転化しうるのか。また、日銀の掲げるインフレターゲットの水準に達しうるのかは、成長戦略の成否にかかっています。持続的で緩やかな「良い物価上昇」を実現するために、今後、企業や政府は何をするべきか。消費者物価をめぐる報道や議論に接する際には、この点に注目すべきでしょう。
日本経済新聞の朝刊では、変化しつつある日本の物価を多面的に分析した企画記事を今年の7月から連載しています。
★「物価考 1~4」 (2013年7月14~18日)
 「物価考 眠れるヒント 1~4」 (同9月24~29日)
 「物価考 脱デフレの深層 1~4」 (同12月17~21日)
  最近の物価上昇の概要を報じているのは次の記事です。
★「物価上昇 裾野広がる」 (同11月30日)
  5年ぶりに入札を再開した物価連動国債の動向については次のような記事が掲載されています。
★「物価連動債の入札好調」 (同10月9日)
 「風速計 物価連動債、脱『海外依存』なるか」 (同10月14日)
 「物価連動債の発行倍増」 (同12月3日)


参考図書

タイトル 著者 出版社
デフレーション 吉川洋 日本経済新聞出版社
貨幣論 岩井克人 ちくま学芸文庫