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11月16日 #3 法人減税

講義余録

どんな法律、制度も国民の「納得性」が問われます。特に税制は幅広い納得を得るのが容易ではありません。増税には古今東西「悪政」と批判の声があがることが多く、減税の場合も「得をした側」への怨嗟の声が上がりがちです。消費増税を決めた安倍政権には、このタイミングで法人減税に踏み切るうえで、これがより多くの国民に恩恵をもたらすであろう仕組みを粘り強く説明する努力が欠かせません。減税を契機とする企業・経済の成長が賃上げ・雇用拡大につながるよう、マネーの歯車を回す施策の追加的発動などが今後の注目点となるでしょう。
ただ、今回の講義でも触れましたように、歯車を実際に回し、法人減税の効果を家計にまで及ぼせるかどうかは企業のマインドにもかかっています。いわばボールは企業に投げられた形です。企業の投資や雇用に対する姿勢が今後、どう変わっていくかについての報道や調査にも注目したいところです。

法人実効税率のさらなる引き下げが今後、議論の焦点になりますが、これに先立ち、政府は来年4月の消費増税に向け、賃上げ・投資を促す1兆円規模の政策減税に踏み切ります。企業がこの制度をどう使いこなせばいいかを解説する記事が、10月の日本経済新聞朝刊に連載されています。
★「どう使う投資減税 1~5」(2013年10月18日~26日)
法人減税は企業の成長を促し、ゆくゆくは賃上げや雇用拡大、消費の活性化につなげるのが目的です。ただ、足元の2013年度決算では減益要因になる側面もあります。そのからくりを解説したのが次の記事です。
★「エコノフォーカス 法人減税、足元では逆風?」(同11月4日)
また、法人減税が賃上げにつながるかどうか、国民の間では懐疑的な見方が多いことを示す調査結果も記事化されています。
★「サーベイ 法人減税で賃金『上がらず』82%」(同10月14日)


●1回目の放送後、視聴者の方から以下のような質問が届きました。
前々からの疑問があるので質問させていただきます。国債の元本・利息払いの国債費はその名から費用であると読み取れます。ただ、借金の元本の返済は、ふつう費用とはなりません。仕訳で表すと、(借方)借入金(貸方)現金 となり費用は発生しません。国債費に費用でない元本返済分が含まれているのはなぜでしょうか?

講師の土居先生からのご指摘をもとにお答えいたします。
元本返済分が国債費に含まれるのは、日本の予算の表示の仕方が単式簿記的になっているためです。国の日々の会計処理では、近年になって複式簿記を導入しましたが、国会で審議・議決される予算書では、戦後ずっと一貫して単式簿記をとっていたことから、今も単式簿記的な表示の仕方になっています。つまり、入金時には歳入としてカウントし、出金時には歳出としてカウントするわけです。 この方式では元本も当年度の税収を用いて返済を行うこととしているため、国債費に元本の返済が含まれる、ということです。単式簿記では、今年度の税金や借入れによる収入が何に用いられたかを表すことができます。ただし、借り換え(いったん満期が来た元本の返済と借り換えのために発行した国債の収入)は含まれません。

参考図書

タイトル 著者 出版社
日本の税制 何が問題か 森信茂樹 岩波書店
日本の税金 新版 三木義一 岩波新書