日本の伝統色1日本の伝統色2日本の伝統色3日本の伝統色4
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今回取り上げる伝統色は、弁柄色(べんがらいろ/赤)、黄土色(おうどいろ/黄)、赤瑠璃色(あかるりいろ/赤)、燻し瓦色(いぶしがわらいろ/黒)、群青色(ぐんじょういろ/青)、緑釉色(りょくゆういろ/緑)、鋼色(はがねいろ/青)の七色。これらの伝統色探り、その美しさをハイビジョン映像でお届けする。

【弁柄色(べんがらいろ/赤)】
京都の町屋の壁などに見られる赤い色‥弁柄色は土の鉄分が酸化して自然にできる色。だが、人為的に弁柄色を作り出したのは江戸時代、岡山県吹矢が最初だった。時の権力者・田沼意次の後押しで開発された「吹矢の弁柄」はひときわ美しく、江戸時代から昭和三十年代まで日本の弁柄を代表してきた。今ではまったく生産されなくなった吹矢弁柄。その「赤」にこだわり続けるのが有田焼の今泉今右衛門だ。先代の時に吹矢の弁柄を大量に入手、いまでも独自の赤絵を焼いている。

【黄土色(おうどいろ/黄) 】
日本において、黄土色は典型的な地面の色だ。石英や長石、さらに雲母などを含む砂塵が風に運ばれ堆積した、黄褐色の土の色をいう。黄土が意識的に使われたのは、茶の湯が最初かもしれない。安土桃山時代の茶人、千利休は簡素な茶室に「京壁」と呼ばれる黄土を用いた。その京壁の中でも最上とされるのが、かつて聚楽第の跡地から採れた「聚楽土」だ。しかし現在は、京都周辺の良質な土を混ぜ合わせて「聚楽土」の色合いを出している。その採取から精製まで、そして現代の茶室作りまでを追う。

【赤瑠璃色(あかるりいろ/赤)】
古くは「瑠璃」と云われ、ギヤマン、ビードロとも云われたガラス。その澄んだ色は古くから人を惹きつけ、中でも赤く透き通ったガラスは赤瑠璃といい、珍重されてきた。日本で初めて赤瑠璃のガラスを作ったのは、島津斉彬が率いる幕末の薩摩藩。それまで至難の業と云われた赤に挑戦、試行錯誤の末に成功したのだった。名君と呼ばれる斉彬は、なぜ赤瑠璃色にこだわったのか?わずか十年で姿を消した赤瑠璃色の工芸品、薩摩切子誕生の秘話‥。

【燻し瓦色(いぶしがわらいろ/黒) 】
波うつ黒い瓦の風景は日本人の原風景と伝えるもの。しかし、かつては素焼きの瓦が主流だったと云われる。その瓦を草木を焚いた煙で黒くしたのは、中世の頃とされ、それから日本独自の発展を遂げてきた。
素焼きの土を黒変させる煙の力‥炎を使いこなし、一度に数百枚の瓦を焼く技術は熟練を要するため、現在では数人の瓦職人しか残っていない。
群馬県藤岡に住む五十嵐さんは数少ない昔ながらの瓦職人。達磨窯という独特の窯を築いて、黒い瓦を作り続けている。
    「達磨窯で焼いた瓦は生きている。数十年数百年と時がたつと良い色になる」
五十嵐さんの黒瓦に対する思いは確信に満ちている。

【群青色(ぐんじょういろ/青)】
群青は日本画で使う岩絵具の一種で、藍銅鉱(アズライト)という石を砕いて作られる深い青の顔料だ。日本ではほとんど採れない群青色は、昔から高貴な色とされ。わずかに仏画や障壁画などに使われていた。
色にこだわる画材屋は美しい群青色を得るため、自ら原石を砕き、高名な日本画家も海や水の群青色に特別の思いを込めると云う。
それほど美しく高価な群青を惜しげなく使った建物がある。日光東照宮だ。数十年に一度、改修を続ける東照宮の群青に込めた思いを探る。

【緑釉色(りょくゆういろ/緑) 】
自然を象徴する緑‥焼き物で緑色を出す「緑釉」は最も古い釉薬の一つで、紀元前の中国ですでに使われていた。そして奈良時代、日本へ伝わった緑の釉薬は戦国時代に一つの頂点を迎える。それが茶人であり武将であった古田織部が考案した、美濃の「織部」だった。織部焼きの陶祖と云われる加藤景延、その子孫が今も岐阜県土岐市にいる。陶芸家の加藤康景さんは父祖伝来の伝統を受け継ぎながら、土と格闘し、火を操って緑釉色の可能性を模索している。

【鋼色(はがねいろ/青)】
優れた日本刀が放つ澄み切った青を銅色という。その神秘の輝きは、刀本来の武器という機能を超えて、芸術品の域にまで達している。
日本刀に使う鉄は「玉鋼(たまはがね)」という特殊なもの。それを炎で熱し、金槌で叩き、水で冷やして研磨する‥そうして、ようやく一振りの日本刀が生まれる。しかし刀の表面に「鋼色」が表れるのは、それから。研師の力が要るのだ。刀匠の宮入さんがその過程を見せてくれる。十四工程にのぼる極意の技のはてに現れる青い鋼の輝き‥そこには「土と水と炎の神秘」が刻み込まれている。


みどころ

日本の伝統色。その中には大地の中から見出し試行錯誤を繰り返しながら作り出した色がある。素材である土や鉱石に手を加え、技を施して美しい色にするのだ。そのとき、大きな役割を果たしているのが、水であり、炎だ。
大地から生まれた伝統の色は水に触れ、炎に出会ったとき初めて、その美しさを現す。今回は「土と水と炎」が生み出す七つの伝統色を探る。