日本の伝統色1
日本の伝統色2
日本の伝統色3
日本の伝統色4
日本の伝統色5
日本の伝統色6
日本の伝統色7
日本の伝統色8


みどころ
春夏秋冬、四季折々の自然の変化に富む日本において、人々は、自然界の色から季節の移ろいを感じ、自然界の色から恵みの豊かさに感謝し、自然界の色に憧れて染色の技術を発展させてきました。
日本人にとっての自然は、古から共生してきた貴い存在であり、その自然の恵みによる色は、季節感がなくなった現代においても、心に語りかけてくる彩りです。
日本の伝統色の中には、そうした美しい自然の恵みと逢える色が数多くあります。

今回は、自然の恵みによる色から、日本人の『色との語らい』を見つけます。

芥子(からし)色
春、鮮やかな黄色の花を咲かせ、夏にその種子が採取される芥子菜。平安時代、粉末は既に調理にも使われていましたが、現在日本では殆ど栽培されていません。
今も栽培から加工までを行う山形県鶴岡市の『月山パイロットファーム』を訪ね、松尾芭蕉も俳句に詠んだ民田茄子の漬物から、やや鈍い黄色の芥子色を捉えます。
(芥子菜の種子を粉にして練って得た香辛料の、やや鈍い黄色/黄系)

苔(こけ)色
梅雨の晴れ間、太陽の光を浴びて輝く濡れた苔。苔生した緑色の景色を鑑賞美とする文化は、乾燥した気候で暮らす欧米人と異なる日本人ならではの感覚であり、それは侘び寂の色です。苔の美しさに定評のある京都市嵐山の宝厳院『獅子吼の庭』、苔の庭園として知られる石川県小松市の『苔の園』、盆栽などから、日本人を魅了し続けている苔色に注目します。
(湿度の高い日本ならではの苔の緑色/緑系)

朝顔(あさがお)色
夏、大きな円錐形の花を開く朝顔。観賞用として流行した江戸時代、品種改良によって様々な色が生み出され、開花の時期も早くなりましたが、原色とされるのは淡青色であり、俳句や浮世絵でも秋の花でした。今、下町の路地、栽培農家、入谷の朝顔市、研究、浮世絵を通して、夏の朝を彩る朝顔の原色・淡青色を探ります。
(奈良時代に渡来した当時から見られる淡青色/青系)

葡萄(えび)色
秋、実が黒ずんで熟す山葡萄。その赤紫色は、平安時代に貴族の女性達に好まれ、清少納言もめでたきものとして「葡萄染の織物」を挙げました。
山葡萄を栽培する岡山県真庭市の『ひるぜんワイン』でワインの製造工程を追い、染師・吉岡幸雄氏の染色によって、自然の恵みの色に近い葡萄色を追求します。
(山葡萄の実が熟した赤紫色/紫系)

紅葉(もみじ)色
晩秋、緑色の葉を黄色から濃い赤色へと変える楓。古から紅葉狩りを好む日本人にとって、紅葉色は自然美を感じさせる色であり、楓も描写され続けて来ました。
『源氏物語屏風』や歌川広重の『名所江戸百景』、能装束の紅葉柄などを紹介すると共に、紅葉の名所(山形県の『宝珠山立石寺』、埼玉県の『国営武蔵丘陵森林公園』、栃木県の『日光』など)を訪ね、紅葉色の世界を鑑賞します。
(楓の葉が秋の深まりと共に移って行く濃い赤色/赤系)

真珠(しんじゅ)色
冬、海から採取される真珠。貝の体内で生成されるその生体鉱物は、国や時代を問わず貴重な宝石とされ、美しい光沢に富む乳白色は自然の神秘を感じさせます。御木本幸吉が世界で初めて安定した真珠養殖に成功した鳥羽を訪ね、真珠を使った絢爛豪華な五重塔を鑑賞。沖縄県石垣市の『琉球真珠』は、真珠貝の中で最大級の白蝶貝から採れる白蝶真珠を養殖。その白蝶真珠の養殖工程を紹介。東京・上野の『真珠科学研究所』では、真珠色の高貴な輝きの秘密に迫ります。
(真珠のようにわずかに灰色味を帯びた乳白色/白系)

橘(たちばな)色
冬から春に掛け、直径3cmほどの果実を黄色へと変えて行く橘。『日本書紀』に天皇の使者が常世の国から持ち帰ったと記される橘(不老不死の霊果)は、常緑の葉が永遠ということで喜ばれ、京都御所では「右近の橘、左近の桜」が有名です。
和歌山県海南市の『橘本神社』は、その持ち帰った橘を移植して御神木とし、今も正月の鏡餅には橘の実を用いています。橘を改良して出来たとされる紀州みかんの歴史と併せ、長寿を願う色とも言える橘色を紹介します。
(日本固有の柑橘類である橘の実の黄色/黄系)