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  • #12 2016年6月24日放送

    ゲスト:角田光代(小説家)、西加奈子(小説家)

    今回のゲストは先週に引き続き角田光代と西加奈子。その後編をお送りする。
    出演者が自分に課しているルールについて語る「私のルール」のコーナーでは角田が「ズルをしない」という自分のルールについて語る。
    本来自分はどこまででもズルができてしまう人間だという角田は、それを戒めるために自分のルールとしてズルをしないように気を付けているという。
    それではズルとは一体どういうことなのか。例えば小説を書く時に2人の人間が出会う場面を書くとする。ズルをすればぶつかるなどのハプニングを起こさせて出会わせることができる。
    しかし書いていて自分自身が信じられるレベルまで出会いの必然性と状況を苦しみながらも考え抜くと、後々“後悔”という苦しみを味合わなくて済むという。
    しかし必然性と納得できるまで突き詰められた状況は小説全体のありとあらゆる場面で“突きつめる”ことができる可能性があるため、角田は書いても書いてもズルをした気になってしまうという。
    西はかつて書いた小説「さくら」で主人公の兄を小説内で自殺させたことがある。それを書いた当時はそうすべきだと本気で思っていたが、後から「死なせることはなかった」、もっと「死」のような神が与えたアクシデントのようなものではないもので家族の再団結を表現できたのではないかと後悔し続けているという。
    そういう意味で、小説に出てくる状況や素材が全てオーソドックスなもので最後まで読ませる力のある小説には本当に感動するという。
    番組の最後に「ズルしてないオススメの本」を角田がリコメンドする。

    紹介したご本:開高健『輝ける闇』

  • #11 2016年6月17日放送

    ゲスト:角田光代(小説家)、西加奈子(小説家)

    今回のゲストは番組最多出演の西加奈子と、西とも親交のある角田光代。今回はその前編をお送りします。
    出演者が自分に課しているルールについて語る「私のルール」のコーナーでは西が「「根はいい子制度」は絶対ではない」という自分のルールについて語る。
    普段とても印象の悪い人が見えないところで実はとても良い人だという部分を目撃した瞬間、人の印象はガラリと変わる。それは逆もしかりで人間は本来一面的ではない。その話から人間の多面性を認めない世の中の風潮についてのトークに発展する。
    若林は、ニュースなどで取り上げられるような悪いことをした人を番組の出演者が糾弾している時の“自分は絶対に正義だと信じて疑わっていない状況”、“自分には悪の部分がまるでないかのように糾弾している状況”がまるで全体主義かのように感じられて怖くて仕方がないという。
    角田は世の中には100%悪いだけの人も良いだけの人も存在しないと思っており、それを上手く配分していくのが小説だと思っているので、西のルールは小説というものそのものだと感じたという。

    紹介したご本:丸谷才一『女ざかり』

  • #10 2016年6月10日放送

    ゲスト:窪美澄(小説家)、柴崎友香(小説家)

    出演者が自分に課しているルールについて語る「私のルール」のコーナーでは窪が「編集者さんの褒め言葉を100パーセント信用しない」という自分のルールについて語る。
    自身を「猜疑心美澄」とまで言う窪。職業として褒めるのが基本的に上手い編集者の言葉は信用していないという。それは純粋に小説に取り組むためにも信用しないようにしているのだとか。
    逆に信用している人として同期の朝井リョウをあげる。お互いに面白いと思った小説は面白いと言いあうし、面白くなかったらそれには触れないのだとか。
    番組の最後に猜疑心がテーマのオススメの一冊を窪が紹介する。

    紹介したご本:栗原康『村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝』

  • #9 2016年6月3日放送

    ゲスト:中村航(小説家)、中村文則(小説家)

    今回のゲストは野間文芸新人賞を同じタイミング受賞し、お互いに交流もある中村文則と中村航。
    出演者が自分に課しているルールについて語る「私のルール」のコーナーでは中村文則が「遊園地やキャンプに行かない」という自分のルールについて語り、中村(文)の複雑な自意識が吐露される。
    例えばジェットコースターのような人を怖がらせるために作られたアトラクションに乗って実際に怖がったとした時に、「だから何?そのために作ったんでしょ?」と思ってしまうという。
    さらにSとMという性格分けをするならば典型的なSタイプ、かつとても気を使う性格だという中村(文)は、怖がるものかという思いと、怖がらないとこれを作った人に悪いかなという思いがないまぜになり、結果的にどういう顔をしてジェットコースターに乗ったら良いか分からなくなってしまうという。
    その後話は中村航と共に受賞した野間文芸新人賞発表の時のエピソードになる。
    中村(文)は当時受賞は無理だと思っていたが、候補に挙がっているので発表まで待機しなければならない。しかしカメラに写っても良いようなきちんとした服を着ていると「あの人賞を取れると思っている」と思われるのが嫌で「全く賞を取る気はない」という形を作るために普段着で待機していたという。ところが存外に受賞が決まり、「この服で写真に写るのか」と後悔していたところにキメた服で中村航が現れ「ヤラれた」と思ったという。それが中村航の第一印象として今でも残っているとか。
    番組の最後に自意識がテーマのオススメの一冊を紹介する。

    紹介したご本:太宰治『きりぎりす』

  • #8 2016年5月27日放送

    ゲスト:海猫沢めろん(小説家)、白岩玄(小説家)

    今回は番組に出演してくれた作家さんから、「この作家は面白い!」という推薦のあった方々をお招きする。第1回ゲストの西加奈子と朝井リョウの推薦で海猫沢めろんを、第4回ゲスト、加藤千恵の推薦で白岩玄をお招きする。
    海猫沢からの質問「人生で一番落ちてた時期はいつですか?それをどうやって乗り越えましたか?」についてトークする。デビュー直後にもらったお金をデイトレードに回して失敗した海猫沢は、知り合いの家を転々とする生活をしばらく続けたという。しかしそんな金銭的には非常に辛い経験をしつつも人生で一番のどん底は収入的には安定していたサラリーマン時代だとか。売れない自分への焦りからとうとう鬱病になってしまったという。
    白岩が一番落ちていた時期は小説「野ブタ。をプロデュース」が爆発的に売れた後だという。多額のお金が一挙に入ってきたことによって様々な感覚が麻痺し、お金が原因で友人たちも離れていってしまい、その後数年は軽い鬱のような状態が続いたという。
    若林の売れない時代のエピソードも披露される。当時は売れないながらもアナーキーな笑いに走り、それがかっこいいと思っていた。そんな時代を脱したきっかけになったのが唯一自分たちを褒めてくれた先輩芸人の言葉だという。先輩芸人曰く、「芸人の芸は“雨”で、時代は“車”だ。振り続ける雨の下に走ってきた車は雨が降ってきた(新しい芸人が出てきた)と思うだろう。ずっと振っていればいつか時代という車が走ってくる。だから時代を追いかけるのではなくそのまま走り続ければ良い。」のだとか。その時代という車が来たのがM1グランプリの時だったという。
    番組の最後に海猫沢が20代の人に響くオススメの一冊を紹介する。

    紹介したご本:桜庭一樹『砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない』

  • #7 2016年5月20日放送

    ゲスト:藤沢周(芥川賞作家)、羽田圭介(芥川賞作家)

    今回は藤沢の作品『オレンジ・アンド・タール』の大ファンである若林と、藤沢に影響を受けたという羽田の2人が藤沢を囲んでトークをする。
    それぞれが自分に課している「私のルール」についてトークするコーナーで、「書くとは世界と刺し違えること」という藤沢のルールについて語られる。究極的に何故自分が小説を書くのか、それは世界の“実相(=実際のありさま、真実の本性”を書きたいからだという。しかし実相という言葉以前のものを表現するのに言葉というクッションを置かざるをえない“書く”という行為は既に世界の真実には負けている状態であるという。それでも自分がイメージする真実を可能な限り真実に近い言葉で表現することは世界と刺し違える覚悟で書かなければならないことだという。
    番組の最後に藤沢が世界の実相を掴ませてくれるオススメの一冊を紹介する。

    紹介したご本:古井由吉『辻』

  • #6 2016年5月13日放送

    ゲスト:佐藤友哉(小説家)、島本理生(小説家)

    夫婦共に小説家である佐藤友哉と島本理生が出演。佐藤の隠された面白キャラクターがさく裂する。
    家ではお互いを“佐藤さん”“島本さん”と呼び合っているという二人。そのなれそめを聞くと作家合コンだったという。
    会では人見知りの佐藤がほとんど下を向いて話していたので島本は佐藤がどんな顔だったかも覚えていない状態だったとか。そんな二人がどうして付き合うことになったのか、その仰天の理由に若林も爆笑してしまう。
    「登場人物のモデルはいますか?」というトークテーマの中で比較的バイオレンスな表現が多い佐藤の作品のモデルは自分の中の別の人格だと語る佐藤。これに対してかつて付き合いたての頃に同室で執筆をしていた所、唐突に「君ちょっとぬいぐるみ食べてみてくれない?」と真顔で聞いてきたことがあるという。その他一風変わっているがとても面白い佐藤についてのエピソードが次々に出てくる。
    番組の最後に島本が「夫婦」がテーマのオススメの一冊を紹介する。

    紹介したご本:島尾敏雄『死の棘』

  • #5 2016年5月6日放送

    ゲスト:平野啓一郎(芥川賞作家)、山崎ナオコーラ(小説家)

    芥川賞作家の平野啓一郎と映画化された「人のセックスを笑うな」などを執筆した山崎ナオコーラが出演。
    自分に課しているルールについて語る「私のルール」のコーナーでは山崎が「あきらめる」というルールを披露。この言葉は全ての言葉の中で一番好きな言葉だという。本が売れること、良い人になることなどをあきらめるととても楽になれるので皆にお勧めしたいという。この考えは生まれた時からそういう考えだということも語る。
    これに関しては平野も理解できると言い、森鴎外の示した「諦念」というエピソードを披露して不可抗力でどうしようもなくなる時はどうしてもあると語る。
    また平野が提唱している「分人主義」(人間が相手次第で様々な顔になることを肯定する考え方)についてもトークする。 番組の最後に平野が「あきらめる」がテーマのオススメの一冊を紹介する。

    紹介したご本:森鴎外『高瀬舟』

  • #4 2016年4月29日放送

    ゲスト:加藤 千恵(歌人/小説家)、村田 沙耶香(小説家)

    今回は第1回にもゲスト出演した西加奈子をはじめ様々な作家達が「クレイジー」と評する村田沙耶香がいよいよ登場。売れっ子作家になった今でもかなり本腰を入れてコンビニのバイトをしているという彼女の放送コードギリギリのトークがさく裂する。
    「喜怒哀楽のうち仕事のモチベーションは?」というテーマでは村田が圧倒的に「喜」がモチベーションだと語る。村田の小説独特のグロテスクな殺人のシーンを書いている時など人間の未知の部分を知ることができるのでとても喜びながら書いているという。これにはさすがの若林も加藤もどん引きしてしまう。
    また怒りの感情がないという彼女が小学生時代から最近までのとんでもエピソードを赤裸々に語る。普通なら警察沙汰になってもおかしくないことが彼女にとっては怒りの対象にならないという。
    番組史上初の放送コードギリギリのトークがさく裂する。
    番組の最後に村田が「変態」にまつわるオススメの一冊を紹介する。

    紹介したご本:岸本佐知子 編訳『変愛小説集』

  • #3 2016年4月22日放送

    ゲスト:長嶋 有(芥川賞作家)、朝井 リョウ(直木賞作家)

    今回のトークテーマは「エゴサーチしていますか?」「タイトルはどうやって決めていますか?」「嫉妬する作家はいますか?」など。
    「エゴサーチしていますか?」というテーマでは朝井が、作品を読んで怒っている人の感想が好きだと語る。共感したという読者に対してはあまりその人の思考回路を働かせることができなかったかもしれないが、怒っているということは自分の中の大切な事を乱されかけた証拠のように感じて嬉しいのだという。
    また読者のことを人より信頼していないという自己分析についても語る。自由な読み方をしてくださいという作家が多い中、どうしても自分が言いたいメッセージを読者にトレースしてほしい余り、文中にヒントをとても多く出してしまうという。
    番組の最後に長嶋が「エゴサーチにまつわるオススメの一冊」を紹介する。

    紹介したご本:ミランダ・ジュライ『あなたを選んでくれるもの』

  • #2 2016年4月15日放送

    ゲスト:長嶋 有(芥川賞作家)、西 加奈子(直木賞作家)

    今回のトークテーマは「小説の中や私生活で使わないようにしている言葉や表現はありますか?」「大人になっても誰かに怒られることってありますか?」「憧れの有名人や芸能人っていますか?」など。
    「小説の中や私生活で使わないようにしている言葉や表現はありますか?」というテーマでは長嶋が20年先までもたない言葉は使いたくないという自論を披露。逆に使ってしまう言葉など独自の感性を語る。
    出演者それぞれが自分に課している「私のルール」について語るコーナーでは若林が「派手なメガネをしているインタビュアーは信用しない」というルールについて語る。これまでの経験で、自分の心に土足で踏み込んで来られた挙句インタビュアーのご機嫌を取らないといけない空気になることが多かったと言う。また服装トークの流れから西が「この人の靴先は絶対にトガっている」と話しながら思った人は絶対靴先がトガっているというエピソードを披露。その爆笑のクセを語る。
    ほか西の「パトカーや警察官とすれ違う時は大声で笑うよう心がけている」、長嶋の「ある人から文庫本の解説を頼まれたらその人には自分の文庫本の解説は頼まない」という自分のルールを語る。
    番組の最後に西が「憧れの人やスーパースターにまつわるオススメの一冊」を紹介する。

    紹介したご本:スティーヴン・ミルハウザー『エドウィン・マルハウス』

  • #1 2016年4月8日放送

    ゲスト:西 加奈子(直木賞作家)、朝井 リョウ(直木賞作家)

    今回のトークテーマは「自分の作品で良い作品とそうでもない作品ってありますか?」「この人面白い!という小説家は?」など。
    また出演者それぞれのこれだけはする、これだけはしないという「私のルール」について語るコーナーでは西が「仕事や執筆の時間やノルマは決めない」という自説を披露。そこから小説の登場人物の性格は初めから決めるか?というトークに。登場人物がどういうことを言いそうか分かるという西に対して、「僕はそういう人がうらやましくてしょうがないです。」と言う朝井。また作品の解釈は読者まかせという西と対照的に、絶対こう読んでほしいという強いこだわりを見せる朝井。それぞれが作品に向き合うスタイルや書き方が垣間見えるトークは必見!
    番組の最後に朝井が「縦社会に納得がいかない若者にオススメの本」を紹介する。

    紹介したご本:加藤秀行『シェア』