FAX、デジタル複合機などの情報通信機器を主力とし、ミシン、工作機械、通信カラオケ、着信メロディーなどの携帯コンテンツサービスをも手がけ、今期5400億円の連結売上を見込むブラザー工業。世界初の卓上型デジタル複合機を開発し、売り上げの6割以上が情報通信機器。ミシンのブラザーから見事に変貌を遂げた。欧米では情報通信機器のブラザーとして圧倒的な知名度を誇り、海外売り上げが70%を占めるエクセレント・カンパニーである。ブラザー工業の前身、安井ミシン商会が創業したのは1908年。義博の祖父、安井兼吉がミシンの部品製造、修理を手がけたのが最初だった。その後、兼吉の長男正義と、4男で義博の父、実一(じついち)があとを継ぎ安井ミシン兄弟商会として国産家庭用ミシンの初の量産に成功。1961年には、タイプライターの製造を開始し、欧米で大ヒット。さらに家電などに進出し第2の創業とも言える拡大を果たす。そして、デジタル複合機などの情報通信機器へ進出し、第3の創業を成し遂げたのが安井義博である。父親から物創りの原点を教え込まれた少年時代。円高で業績が低迷する中、新事業の立ち上げで他の経営陣から激しい抵抗に遭った苦難の日々。新事業の赤字が続く中、会社存亡の危機で下した決断。ミシンのブラザーから情報通信機器のブラザーへ。第3の創業を成功させた男の経営哲学と原点に迫る。
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