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2015.12.20
優美な仏像の世界 ~奈良・薬師寺~

今回ご案内するのは、創建から1300年を数える古刹、法相宗大本山・薬師寺。
古都・奈良の世界遺産に登録される、秀麗な白鳳伽藍で知られる。
鎮座するのは、奈良県奈良市の西部にある西ノ京町。薬師寺のほかにも、鑑真和上によって創建された唐招提寺など、古い寺院が建ち並び、奈良時代の面影を強く残すエリア。
そんな古都にある薬師寺には、国宝や重要文化財に指定される仏像が数多くある。
中でも“東洋美術の最高峰”とうたわれる薬師如来像。穏やかなお顔に、流れるような衣のひだ。なぜこれほどまでに美しい薬師像があるのか?その答えを探しに境内へ。

  • 西塔
  • 鎮守社 休ヶ岡八幡宮

薬師寺は「法相宗」の大本山。今からおよそ1300年も昔の白鳳時代、現在の奈良県橿原市にあたる藤原京に創建された。その後、現在の奈良市への平城遷都に伴い、西暦718年に現在地に移された。「古都・奈良の文化財」として世界遺産に登録されている名刹。
法相宗の鼻祖が、「西遊記」の三蔵法師のモデルにもなった玄奘三蔵。薬師寺には、そんな玄奘三蔵をおまつりする伽藍があり、期間を限定して公開されている。

  • 玄奘塔

そして、本堂にあたる金堂があるのは白鳳伽藍。白鳳の時代とは、今から1300年以上前の7世紀の半ばから710年、平城京に遷都するまでの間を指す。この時代、天皇を中心とした国作りが本格化し、寺や仏像が盛んに造られた。また、新羅をはじめ朝鮮半島の国々との交流も、毎年使節が往来するなど盛んに行われ、大陸の先進的な文化がもたらされた。

  • 金堂

そんな白鳳の文化が色濃く残るのが薬師寺である。
伽藍最大の建造物である「大講堂」には、国重要文化財に指定される、法相宗の教えを説いたといわれる「弥勒三尊像」がまつられる。さらに大講堂では、「仏足石」という珍しい国宝も見られる。

  • 大講堂

鎌倉時代後期の和様仏堂の好例である「東院堂」には、白鳳時代の作とされる国宝の聖観音菩薩像が座する。
そして金堂には、国宝の薬師如来像がある。心身の病気を治すと信仰される仏様で、白い大理石の須弥檀に、中央に薬師瑠璃光如来、向かって右に日光菩薩、左に月光菩薩がお祀りされている。元々は銅で鋳造後、鍍金が施され金色のお姿だったが、これまでの火災で、表面の金が溶けて黒光りしている。江戸期に造られた光背の金色の輝きと黒光りの肌の対比が印象的な独特の美しさ。また、均整のとれたお姿や、躰に添って柔らかく流れる衣など、気品にあふれ、白鳳期を代表する最高傑作と言われる。
美しい薬師如来像に隠された、薬師寺創建の逸話に迫る。どうぞお楽しみに。