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2015.09.20
世界遺産の森と名瀑 ~青森・白神山地~

今回ご案内するのは、1993年、屋久島と共に日本で初めて世界自然遺産に登録された白神山地。
世界最大級のブナ林の原生林で、豊かな自然が作りだした絶景が広がる。

  • ブナ林1
  • ブナ林2

白神山地とは青森県南西部と秋田県北西部にまたがる、およそ13万haに及ぶ広大な山林地帯。東京都23区の2倍の広さを誇る。その中には、人の影響をほとんど受けていない世界最大級の原生的なブナ林がある。また、多種多様な動植物が生息・自生し、貴重な生態系が保たれていることから世界自然遺産に登録された。
宮崎駿監督のアニメ映画「もののけ姫」で、鹿児島の屋久島の森と共にモデルとなった場所といわれる。そのブナの原生林が生みだしたのは、豊かな水の恵み。麓には、清流や名瀑が点在する。今回は、そんな水の名所を中心に、白神山地の魅力をご紹介。
白神山地の表玄関と呼ばれる西目屋村。津軽富士の異名をもつ岩木山を臨む村。白神山地には古くから「マタギ」と呼ばれる狩猟を生業とする人達がいたが、この西目屋村はマタギの村として知られる。
白神山地にある標高およそ986メートルの雁(がん)森(もり)岳(だけ)を水源とする岩木川(がわ)水系に造られた目屋ダムのダム湖「美山湖」。人造湖ではあるが、木々に覆われ、自然豊か。白神山地の山々も遠望できることから、青森を代表する風情豊かな光景が広がる。そんな美山湖から続く岩木川沿いには、名所が点在。
岩木川の左岸にある、垂直に切り立った崖地「鷹(たか)ノ(の)巣(す)」。赤松と木々が生い茂り、紅葉の名所としても知られる。 高さ33m。水量が少なく、さらさらと雨がふるように、大きな岩壁から流れ落ちる「乳穂ヶ滝(におがたき)」。

  • 乳穂ヶ滝

野ウサギやカモシカ、そしてブナ林にしか棲まないという珍鳥クマゲラが生息する。
白神山地に咲く花々は北海道と本州の北部や日本海側で見られる「エゾアジサイ」。梅雨から夏、可憐な花を咲かせる。「クサボタン」は小さな紫色の花をつける日本の固有種。葉が牡丹の葉に似ている事からその名がついた。春には、白神山地の固有種である「シラガミクワガタ」や「アオモリマンテマ」などの希少な植物が花を咲かせる。

  • アジサイ(エゾアジサイ)
  • クサボタン

ブナは保水力が高く、雨を地中に貯える。そして、その雨水はろ過された後に、清流となって流れ出す。
白神山地は緑と水の宝庫である。そう実感できる名所が鰺ヶ沢町にある。「ミニ白神」と称される名所。
白神山地と同様に人の手が加えられていない原生林が広がることから「ミニ白神」と称されてきた。
「森の湧き壺」は白神の森に降った雨水を腐葉土が濾過し、長い時間をかけて湧きだしている場所。
ここから流れ出て森の小川となる。苔むした石が、鮮やかな緑。

  • ダイモンジソウ

白神山地のふもとに点在する「十二湖」で有名な深浦町には、知られざる水の名所がある。
白神山地に端を発する松神川の中流にある落差10mの滝「不動の滝」。大きな滝ではないが、岩肌をたおやかに流れる様は美しい。白神山地が育む清流の名所。中でも観光客に最も人気なのが、西目屋村にある「暗門の滝」。岩木川の支流「暗門川」をさかのぼっていくと見えてきたのは、暗門の滝の「三の滝」。実は大きく三段に分かれている。三の滝は落差26m。三つの滝の中で最も落差が小さい。普通、滝は下手から、1、2、3と名付けられるが、暗門の滝の場合、上から1、2、3と呼ばれている。

  • 暗門の滝

「二の滝」は落差37m。暗門の滝は登るにつれて、次第に滝の落差は大きくなる。岩盤をくりぬいたトンネルを渡り、渓谷沿いに進む。まさに秘境。
「一の滝」は遊歩道を歩くことおよそ1時間。暗門の滝最大の落差42m。かつては秘境中の秘境だった暗門の滝。現代でも、散策できるのは短い夏の間だけ。飛沫が踊るように舞い、辺りは涼やかさに溢れる。
今回はそんな白神山地をご紹介します。