- 2015.08.30
日本最後の清流 ~高知・四万十川~
今回ご案内するのは、日本最後の清流と称される、高知・四万十川。なだらかな曲線を 描く川には、独特な形状の橋がかかる。そんな川沿いには名所が点在している。
四万十川があるのは、高知県南西部に位置する四万十市。2005年に中村市と西土佐村が合併して出来た。国内最高気温41度を記録したこともある「日本一暑い町」としても有名。
全長196キロ。四国で一番長い大河、四万十川。本流に一つもダムが造られていないことから「日本最後の清流」と称される。今回は、そんな四万十川を、下流から源流へと
さかのぼる。周辺にある名所をご紹介しながら、四万十川の始まり、源流点へ。
四国最長の大河、四万十川は、環境省選定の「名水百選」、そして、上流から下流の流域にあたる5市町村が文科省選定の「重要文化的景観」に日本で初めて選定された。
200種類もの水生生物が生息する生き物の楽園であり、アユ漁やアオノリ漁、ゴリ漁など、人と川との関わりの文化が残されている貴重な川。
四万十川は、普段は穏やかだが、大雨や台風が起こると暴れ川になり、たび重なる橋の流失や崩壊に住民たちは長年苦しめられてきた。そこで昭和に入り、かけられたのが沈下橋。 増水時に川に沈んでしまうように設計された、欄干のない橋で、支流も含めると、四万十川には47もの沈下橋がかかっている。
そんな47の橋のうち、最も下流にあるのが「今成沈下橋」。
最下流でありながら、長さはおよそ291メートルと最長の沈下橋で、中村地区からも近いことから、多くの観光客が訪れる。
四万十川の下流には、この地の歴史を物語る名所もある。
藩政時代、四万十川の支流から4つの村に灌漑用の分水路を作った。「安並水車の里」はそんな往時を今に伝える場所。穏やかな田園風景にカッタン、コットンと水車の心地よい音が響く。
四万十川支流で一番清流度の高い黒尊川の上流域にブナの原生林がある。渓谷のすみきった河面に紅葉が映える様が素晴らしい。サンショウウオが生息する清流で、高知県の県鳥
であり絶滅危惧種に指定される鳥「ヤイロチョウ」も住んでいるという。
緑があざやかな夏は爽やかな絶景が楽しめる。
中流域は四万十町を中心とした地域。CMやポスターでもよく見かける、四万十川の象徴的な風景が、「岩間沈下橋」のこの風景。昭和41年に造られた橋で、全長120m。
高知県の山間部に位置する上流域では、四万十川に架かる沈下橋の原形と言われている「早瀬橋」がある。
津野町中部にひと際高く黒々とそびえる、四国カルスト県立自然公園の東南に位置する
標高1,366メートルの不入山(いらずやま)が、四万十川の源。
不入山の中腹に、四万十川の源流点はある。苔むした倒木や岩肌の間を縫うように流れる清水は、大河の源流と呼ぶに相応しい佇まい。小さな滝のような流れをいくつも形成しながら流れていく。
ここが太平洋までの全長196キロの旅の始まり。今回はそんな四万十川をご案内します。