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2015.08.23
富岳百景 ~山梨・富士五湖から見る富士山~

今回ご案内するのは、富士山の北側に点在する五つの湖「富士五湖」。山中湖(やまなかこ)、河口湖(かわぐちこ)、西湖(さいこ)、精進(しょうじ)湖(こ)、本栖(もとす)湖(こ)の5つ。国の名勝、国定公園、そして、富士山と共に世界遺産に登録されている。
およそ5000年から1千年前、富士山の噴火で流出した溶岩流が川をせき止めて誕生したといわれる五つの湖。富士五湖からは、すべて美しい富士の山容が拝める。四季折々の草花が咲き、その偉容を彩る。どの湖も風光明媚だが、なぜ富士山と共に世界文化遺産に選ばれたのか。その理由は、富士山の「信仰の対象」だったからだという。富士五湖にいったいどんな歴史が隠されているのか。美しい湖と周辺の名所を巡りながら紐解いていきましょう。

「山中湖」
周囲はおよそ14キロ。富士五湖で最も東に位置する最も大きな湖。標高がおよそ1000メートルの高地にあり、全国の湖の中でも三番目に高い。一般的に寒冷地にしか生息しないといわれるマリモが1956年に発見され、「富士マリモ」と名付けられ、県の天然記念物に指定されている。
富士山の全景が見渡せる「山中湖親水公園」では、湖面に映り込む「逆さ富士」のほか、冬には逆さ富士にも夕日が沈みはじめる「ダブルダイヤモンド富士」が見られることでも人気を集める。山中湖がある山中湖村のお隣、忍野村には、同じく世界遺産に登録された名所がある国の天然記念物である「忍野八海」。富士山の伏流水に水源を発する8つの池で、世界遺産富士山の構成資産の一部として認定された。美しい湧き水をたたえ、名水百選にも選ばれる。

  • 山中湖

「河口湖」」
周囲はおよそ21キロ。富士五湖のほぼ中央に位置する河口湖は、交通の便に恵まれ、観光施設や宿泊施設が充実しており富士山周辺観光の拠点にもなっている。湖には五湖中、唯一島があり、河口湖大橋の景観も見もの。

  • 河口湖夜景

「精進湖(しょうじこ)」
周囲はおよそ5キロしかない、五湖で最も小さな湖だが、“東洋のスイス”と称される景観美を誇る。観光地としての歴史も古く、1895年(明治28)に、湖畔にホテルを建てたイギリス人ハリー・スチュワート・ホイットウォーズによって、ヨーロッパに「ジャパン・ショージ」の名で紹介され、いち早く国際的なリゾート地として知られるようになった。 精進湖という名の由来は、富士五湖が世界遺産に登録された理由を表している。
実は、「富士五湖」と呼ばれるようになったのは最近のことで、大正時代末期までは現在の五湖のほかに3つ湖を加えて「富士八海」と呼ばれていた。 富士山は火の神であり、豊富に命の水を抱く水の神さまでもあって、この八つの湖にも、それぞれ龍神の名前もついていたという。信仰の面からも、裾野の湖は、富士山と同様に重要な存在だった。そこで、山頂への登拝修行だけでなく、湖の底にいる龍神様を参る
「内八海巡り」という特別な修行があった。最初は、富士山に登拝する前の汚れをはらう禊ぎが目的だったのが、八つの湖をすべて巡ること自体が、富士山の信仰、とされるようになったという。精進するための神聖な禊の場であり修行の場でもあった富士五湖。そんな往時を「精進湖」という名が伝える。

  • 精進湖

「西湖(さいこ)」
周囲はおよそ10キロ。原生林に囲まれたひっそりとした湖で、「乙女の湖」という愛称がついている。湖の西岸部には太古を思わせる青木ヶ原樹海が広がっており、藍色の神秘的な色をした湖が広がる。かつては精進湖と一つの湖だったが、富士山の噴火による溶岩流で分断され現在の形になった。

「本栖(もとす)湖(こ)」
水深はおよそ138メートルと五湖の中で一番深く、全国の湖では第9位にランクされている。透明度の高さも五湖指折り。水温が冬でも4℃以下に下がらないため、凍結しない。
富士五湖の西のはずれにある本栖湖は、五湖の中でも観光開発がそれほど進んでおらず、手付かずの自然が残されている。
北岸は富士の好展望地で、美しいエメラルドグリーンの湖畔から見る富士山は千円札のデザインに採用されている。旧五千円札の裏に描かれている富士山と湖は、この本栖湖畔から写真家の岡田紅陽が撮影した作品をデザインしたもの。年に数回しか見られないという逆さ富士を収めたもの。
今回はそんな富士五湖をご案内します。

  • 本栖湖
  • 本栖湖の逆さ富士