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2015.08.16
富士山 ~日本一の名山に登る~

今回ご案内するのは、標高3776メートル、日本の最高峰、富士山。海外に日本の象徴として知られる美しい山容の頂へ。

  • 富士山1

静岡県・山梨県にまたがる活火山。富士山には、吉田ルート、須走ルート、御殿場ルート、富士宮ルートの4つの登山道がある。今回は、年間登山者数はおよそ3万3千人。比較的登山者が少なく、また、森や砂地など、見どころも多い「須走ルート」で登頂する。富士登山の4ルートの中でも特に見どころが多いといわれる登山道。

須走ルートの登山口があるのは、静岡県の最北東にあたる駿東郡(すんとうぐん)小山町(おやまちょう)。面積の65%が森林という自然豊かな町。海抜759mにある足柄峠は、古くから足柄路として知られ、東国と西国を結ぶ重要な路としてにぎわった。峠の上からは美しい富士の山容が臨める。

  • 富士山2

899年、東海道足柄坂に出没する強盗団を取り締まる目的で設置された「足柄之関」が再現されている。5合目から歩きだすと「古御岳(こみたけ)神社」がある。富士山の頂にまつられる女神の父である山の神をまつる。ここでちょうど標高2000Mだという。標高の2700mの高い位置まで樹林帯が広がっている。傾斜も緩やかで、最も登りやすい富士山の登山道ともいわれる。ミヤマハンノキなどの樹木が生い茂る森の中にはシャクナゲやクルマユリ、ムラサキモメンヅルなどの高山植物が楽しめるのも、須走ルートならでは。 6号目を過ぎると、大きな木はなくなり、ツガザクラやコケモモ、ミヤマエンレイソウ、ツマトリソウなどの草木が覆う草原に。

  • 富士山3

その後、溶岩が一面を覆う荒々しい光景に。草木がどんどん少なくなっていく。

7号目で下山道と分かれる。下山道は5合目までのおよそ3キロ、火山砂利の道を一直線に下る「砂走り」がある。1歩で2メートルほど進めるという豪快な道で、須走ルートの醍醐味と言われている。
8合目で、富士登山で最も混雑する吉田ルートと合流。年間17万人もの登山者が登る一番人気の登山道で、登山道は人で埋め尽くされる。八合目以上は、富士山本宮浅間大社奥宮の境内地。世界遺産に登録されてから、国内外を問わず登山者が急増したが、元々富士は山岳信仰の聖地である。

  • 富士山4

最後の山小屋「御来光館」(八合五勺)を過ぎると、次は9合目の鳥居。9合目の迎久須志神社を経て、最後の鳥居をくぐり、山頂の久須志神社前に到着。山頂からの絶景は下界に広がる景色や彼方まで続く雲海など、天候により様々な眺めを楽しむことができる活火山である富士山のてっぺんには、噴火による巨大なクレーター。この火口を一周することを「お鉢巡り」と呼び、人気のトレッキングコースになっている。

約3kmの火口外周壁の最も高いところが、標高3776メートルの日本の最高地点「剣ヶ峰(けんがみね)」。富士山の火口の底は大内院(だいないいん)と呼ばれ、深さは8合目にまで達するほど。ここは山の神の幽宮とも称され、富士山本宮浅間大社の禁足地となっている。古来霊峰としてあがめられてきた富士山。頂には山の神が鎮座すると信仰され、修験道の聖地として富士信仰が盛んになった。そんな信仰の対象と、広重の浮世絵などに描かれた芸術の源泉として、2013年に世界文化遺産にも登録された。世界が認めた富士山に、光が満ちる。そのとき、もう一つの美しき日本百景が生まれる。

  • 富士山5