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2015.07.19
北の春 新緑と清流 ~青森 十和田湖・奥入瀬~

今回ご案内するのは、十和田ブルーと称される瑠璃色の美しい湖・十和田湖。 そんな十和田湖からの清水が流れ、国の特別名勝、天然記念物に指定される、新緑眩しい奥入瀬渓流をご紹介。

  • 奥入瀬渓流 新緑

実は、十和田湖は巨大な活火山。山の上にある湖なのだ。今は穏やかだが、平安時代までは噴火が続く不毛の地だった。水と緑に包まれた現在のこの絶景を作りだしたのは、意外な植物だった。十和田八幡平国立公園にある十和田湖は、約20万年前の火山活動で始まり、約4万年前の十和田火山の大噴火によって現在の姿となった。標高400mの山にあるカルデラ湖で、周囲の長さは約46km。最深部の深さは327mと日本3位の深さを誇る。

湖は、御鼻部山(おはなべやま)・十和田山(とわだやま)・十和利山(とわりやま)をはじめ、600〜1,000m級の外輪山(がいりんざん)に囲まれている。十和田ブルーと称される深い青の水面が特徴。晴れた日には鏡のように空を映しだす。湖周辺には、ブナやカツラなどの自然林が広がり、初夏は新緑が美しい。湖畔の自然を満喫しながら散策出来る。

  • 十和田湖 御鼻部山
  • 十和田湖 休屋湖畔
  • 十和田湖 瞰湖台

遊覧船に乗ると「恵比寿(えびす)大黒島(だいこくとう)」「五色岩(ごしきいわ)」そして「御倉半島にある、220メートルにも及ぶ巨大な柱状節理「千丈幕」という荒々しい岩肌が突如現れる。奥入瀬渓流の渓流では「セグロセキレイ」「ヤマセミ」「ミソサザイ」「カワガラス」「アカショウビン」などの野鳥が見られる。「百両橋」と名付けられた橋の上から渓流を見下ろすと美しい景観、近くにある4つの名所を「一万一千百五両の眺め」と呼ぶ。

素晴らしい景観を誇る滝は奥入瀬渓流本流にかかる唯一の滝「銚子大滝」。 「双白髪(ともしらが)の滝」「白糸の滝」「不老の滝」「白(しら)絹(きぬ)の滝」と、合わせて4つの滝を一望できる「一目四(ひとめよん)滝(たき)」。高さ25メートル、方向を変えて落ちてくる。「雲井の滝」などがある。奥入瀬を代表する風景。うっそうと茂った木立の中、点在する石のあいだをすり抜けるように流れていく急流「阿修羅の流れ」「三乱(さみだれ)の流れ」。おだやかな流れのなかに、ほどよく点在する岩は苔むし、さまざまな植物が生えている。まるで箱庭のような美しさ。かつて、噴火によって不毛の地だった奥入瀬渓流。清冽な水が満ちたこの絶景を作りだした意外な植物とは「苔」。実は奥入瀬渓流は、300種以上あるという国内有数の苔の宝庫。注意深く見てみると、渓流にある石だけでなく倒木や橋、木の幹に至るまで、びっしりと苔に覆われている。

  • 奥入瀬渓流 銚子大滝
  • 奥入瀬渓流 雲井の滝
  • 奥入瀬渓流 三乱の流れ

火山の溶岩で覆われ、草木一本育つことが出来なかった大地に、保湿に優れた苔が生え、その苔の上に植物が生え、緑豊かな渓流の光景を作りだしたのだ。十和田ブルーと称される青く澄んだ湖。そんな十和田湖から流れる清流が造りだした、風光明媚な渓流美と名瀑の数々。新緑にあふれ、清々しさに満ちている。