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2015.06.07
名勝の渓谷美 ~岩手 げん美渓びけいげい鼻渓びけい

今回ご案内するのは、国の名勝、天然記念物に指定される二つの美しい渓谷。伊達政宗が日本三景・松島と並び称し自慢したと伝わる「厳美渓」。そして、日本百景のひとつで情緒ある舟下りで有名な「猊鼻渓」をご紹介します。

風光明媚な厳美渓、猊鼻渓。岩手県下で指折りの観光名所。荒々しい岸壁に囲まれた渓谷を、とうとうと流れる清流。なぜこんなに美しい渓谷が生まれたのか。 まずは、伊達政宗が愛した「厳美渓」から参りましょう。

  • 厳美渓1
  • 厳美渓2

栗駒山に源を発し、一関市内へと流れる磐井川の浸食によって形成された厳美渓。仙台藩主・伊達政宗が、「松島と厳美がわが領地の二大景勝地なり」と自慢しては、度々訪れるなど、古くから景勝地として親しまれてきた。荒々しい流れが岩にぶつかり豪快な水しぶきを上げる上流に対し、下流ではゆったりとした深淵が見られるなど、変化に富んだ景観が楽しめるのも厳美渓の大きな魅力の一つ。岩の狭まったところを流れ落ちる「滝惜の滝(あらたのたき)」、鍾乳洞の「幽玄洞」などをご紹介します。

  • 幽玄洞鍾乳石
  • 幽玄洞地底湖

続いては、奇岩で知られる、日本百景のひとつ「猊鼻渓」へ。 猊鼻渓は、岩手を代表する川「北上川」支流の砂鉄川沿いに、高さ50mを超える石灰岩の岸壁がおよそ2kmにわたって続く渓谷。大正14年に、岩手県初めて、国の史蹟・名勝・天然記念物に指定された。日本三大奇勝のひとつである九州・大分の「耶(や)馬渓(ばけい)」に対し、「東の耶馬渓」とうたわれる。

そんな耶馬渓の名物が「舟下(ふなくだ)り」。船頭が、棹一本でたくみに操る「げいび舟」と呼ばれる船に乗り、下流から上流へ、渓谷美を楽しむ船の旅をご案内します。北上川は、平泉・藤原氏の時代から物資を運ぶ「川の道」として利用され、特に江戸時代に入ると、年貢米を江戸へ運ぶため、舟運がさかんになった。猊鼻渓の舟下りで使われる舟は、そんな北上川舟運で活躍した「ひらた舟」が原型になっている。

  • 猊鼻渓1
  • 猊鼻渓2

この地の風土と人々によって守られてきた風光明媚な「厳美渓」、「猊鼻渓」。今回は手つかずの豊かな自然がそのままに残る二つの名勝をご紹介します。