「地球★アステク」は、生活に根差した科学情報や明日の知識、ビジネスヒントになるような先端テクノロジーに注目する番組です。全編取材VTRで、テクノロジーの現場から生きた情報をお届けします。
大学の研究室にとどまらず、企業の研究所や工場など、幅広く取材先をセレクト。番組の顔・伊藤洋一は、各回のテーマとなるテクノロジーが明日の経済へ与えるインパクトや課題を、アナリスト視点で鋭く解説。また美人双子姉妹の蒼あんな・れいなは、とかく難しくなりがちな科学技術を、視聴者目線で分かりやすく、時には身体を張って、お伝えします。
また番組コーナーも充実。素朴な疑問をテーマにした「あんな・れいなの教えてセンセイ!」。今日の先端テクノロジーの礎を築いた先人に迫る「アステク ザ★グレート」。番組の締めに、テクノロジーを経済効果の観点から分析する「伊藤洋一のアステク★コンパス」と、盛りだくさん。
#69 「世界が欲しがる軽くて頑丈な強い鉄」
/新日本製鉄 技術開発本部 (12/07/26)
今回は、主に自動車に使われているハイ・テンサイル・ストレングス・スチール(High Tensile Strength Steel)、通称「ハイテン」と呼ばれる鉄を取り上げる。三人が訪れたのは、千葉県富津市にある新日本製鉄の技術開発本部。鉄に関する頭脳を集めた世界でもトップレベルの研究所だ。
まずハイテンがどれだけ強いのかを体験取材! 1.4ミリ厚の普通の鉄と、ハイテンの板を用意。普通の鉄は、蒼あんなも、れいなも簡単に折り曲げることが出来たが、ハイテンはなかなか折り曲げられない。同じ大きさでありながら、約4倍の強さのハイテンに三人は驚愕する。また300キロの重りをハイテンに落下させる実験では、自動車が衝突した時と同じ衝撃を受けてもハイテンは形状を保っていることを目撃する。
ハイテンはどのように作られているのかを知るために、隣接している君津製鉄所の熱延工場に潜入! 重さ数10トンの鉄の固まりを1000度以上という高温のまま薄く伸ばしていく工場だ。粗圧延機、仕上圧延機と超巨大な設備を使うことで、鉄のミクロ組織まで調整して、強固なハイテンを作っていることを知る。
本当にミクロレベルでハイテンが作られているかを確かめるため、技術開発本部に戻り、光学顕微鏡や電子顕微鏡を使い観察を行なう。さらに原子レベルで観察を行なえる装置があることを教えてもらう。ハイテンを生み出すのは、鉄を作る圧延方法だけでなく、どのような元素を添加するかも重要であることを知る。
しかしハイテンは強さだけではなかった。自動車会社と同じ大型プレス機械を持ち、加工性までを検証していたのだ。普通のハイテンでは、その強さで「割れ」が発生してしまうが、加工性にも優れたハイテンは割れずに型通りの成形が出来る。その不思議なハイテンの秘密を追究するため、三人は企業秘密の壁に挑む!
【アステク ザ★グレート】大島高任(1826−1901)
日本近代製鉄の父と呼ばれている大島高任を取り上げる。1826年に盛岡藩の医師の家に生まれた大島高任は、17歳になると江戸に出てヨーロッパの技術や文化を学ぶ蘭学やオランダ語を学び、21歳で長崎に遊学。鋳造の本を翻訳する過程で西洋の製鉄技術を知ることになる。その後、1856年に水戸藩で反射炉を築造し、大砲鋳造に成功。1858年に盛岡藩釜石で現在の製鉄所でも使われている高炉法で鉄を作り出すことに成功したのだ。西洋からの技術書だけで高炉づくりに挑み、新しい時代を切り拓こうとする精神は、官営釜石製鉄、官営八幡製鉄、後の新日本製鉄へと脈々と受けつがれている。

