アジアの風

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【第45回】2013年2月9日放送

中野隆次(なかのたかじ)さん
中野鉄工所 代表取締役社長 中野隆次(なかのたかじ)さん

1962年大阪府立堺工業高等学校機械科卒業。同年、農機具メーカーの下請け加工部門として株式会社中野鉄工所から独立、別会社の責任者として従事。1967年近畿大学理工学部2部機械工学科卒業。同年、株式会社中野鉄工所に入社。1987年代表取締役社長に就任。2002年世界初の“自転車用タイヤ自動空気補充装置エアハブ”を発明。海外特許12カ国取得する。2005年経済産業省のものづくり日本大賞の経済産業大臣賞を受賞。2006年中小企業庁「元気なものづくり中小企業300社」に選ばれる。

自転車の車輪の真ん中にあり、車輪と車体を繋げるハブという部品。今回ご紹介した中小企業、株式会社中野鉄工所は、ハブに画期的な機能を加え、自転車最大のあるトラブルを解決しました。それは、2004年、開発に成功、「エアハブ」と言われる部品。ハブに新しい機能をつけ大手自転車メーカーに提供し話題を呼びました。

自転車は乗っても乗らなくても極小の穴からタイヤは空気が漏れてしまうのですが・・・中野鉄工所社長、中野隆次さんはハブに空気入れの機能をつけたことにより、一日に約200メートル程走るだけで自転車のタイヤは適正気圧を維持するのです。エアハブが付いている自転車を乗った後藤さんも「非常に軽やかに走ります」と乗り心地はとても良いといいます。しかもこのエアハブ、自転車最大の悩みを解決してしまったんです。それはパンク・・・。パンクの原因は主に空気圧が問題だと言われているので、適正気圧を維持してくれるエアハブをつけることによって、パンクの可能性は劇的に減らしたのです。

そんなエアハブが開発された背景には日本の自転車産業が辿った衰退への道がありました。
1990年国産の自転車は800万台、中国からの輸入車は66万台でしたが、20年の間にその台数は大きく逆転してしまうのです。現在、日本の自転車のおよそ9割がなんと中国製。その結果、日本の自転車作りの技術が失われつつあることにより、大手の自転車メーカーにパーツを供給していた部品メーカーは逆風にさらされ、10社あったハブメーカーも1社だけに・・・最後のハブメーカーとなった中野鉄工所も窮地に追い込まれていました。そこで中野社長が生き残りをかけて開発に挑んだのが、このエアハブなのです。試行錯誤の中、2004年に完成したエアハブは日本の大手自転車メーカーに採用され、販売台数は7万台を突破しました!その技術力は高く評価され、2005年、第一回ものづくり日本大賞に輝きました。そして今、中野さんはこのエアハブにさらなる機能を加えて、台湾市場を目指します。

実は台湾は、世界的メーカーが集積する一大製造拠点。日本やヨーロッパ、アメリカなどに輸出をしているのです。台湾市場に詳しい方にエアハブは受け入れられるのか、話しを聞くと「高機能であれば受け入れられる」といいます。また後藤さんは日本からも近い韓国も市場として狙っても良いのではという意見。リブ・コンサルティング・コリアの香月(かつき)さんに話しを伺うと、「将来性は政府がエコ成長社会実現のための政策を進めているということで予算をつけてですね、自転車を普及させようという動きがある。政府の目標は2017年に自転車保有率を50%という目標を設定している。自転車の普及率を高めていこうという動きがあるので伸びしろが大きい」と香月さんはエアハブは将来性があるとの一言。
将来、アジアでエアハブは受け入れられるのでしょうか?目が離せません!

香月義嗣(よしつぐ)さん
リブ・コンサルティング・コリア 日本企業支援部 部長 香月 義嗣(よしつぐ)さん 各専門分野のコンサルティングを経て2007年から韓国事業部の立ち上げに参画。日本国内だけでなく、韓国でのコンサルティングを担当。
現在は韓国事業部にて、プロジェクトリーダーとして国際的企業数社を初めとしたコンサルティングの業務を主に韓国にて担当中。
リーミチさん 
アジアンブリッジ 台湾支社代表 リーミチさん 台湾出身、高校からオーストラリア留学、大学卒後日本に2年間留学。
オーストラリアRMIT大学MBA国際管理修士
オーストラリア日系企業で勤務し、2011年台湾に帰国。
現在アジアンブリッジ台湾支社勤務。
日本と台湾の架け橋として、企業と個人の台湾進出のサポートをしている。