アジアの風

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【第24回】2012年9月15日放送TAMU

田村克彦さん
TAMU 代表取締役社長 田村克彦さん 1953生まれ。大学卒業後、愛媛県松山市にて公務員として従事。
その後、妻の実家の家業、紙器製造会社に転職。そして2003年に倒産した家業の従業員とともにTAMUを創業。起業後は、独自に開発した300kgの耐久性を誇る「紙ダル」が高級洋菓子や弁当用紙器として注目を浴び、2009年には中小企業庁「元気なモノ作り中小企業300社」にも選ばれる。紙製ゴミ箱「TRASH-POT」はグッドデザイン賞を受賞、エコロジカルなコンセプトが高い評価を受けている。

アジアの風今回紹介した小さな挑戦者は、300kgを耐えられる紙容器「紙ダル」を開発した、愛媛県松山市にある紙器メーカー、株式会社TAMUです。TAMUの前身となる会社は、100年続く有名な紙器メーカーでした。しかし2002年、価格競争に敗れ、会社が倒産。その経験から、田村社長は他社の追随を許さない商品として「紙ダル」を開発したのです。

では、その強度を高める秘密はどこにあるのでしょうか?
1つ目は、「紙目」を利用すること。紙には一方向に流れている繊維、「紙目」があります。これをクロスさせることで縦横どちらからの圧力からも強くなります。TAMUの紙ダルは紙を貼り合わせてつくりますが、その際、この紙目をパーツごとに組み合わせを変えて強度を増すのです。
アジアの風2つ目は、「カール加工」。ふちをカール加工することで上からの力を分散させ、さらには樽のタガのような効果も生みます。

このようなTAMUの技術で作られた紙ダルは高い強度と高級感を持ち、洋菓子や傷みやすい果物など幅広い用途で使われています。また紙製で、強度がありながら分解も容易にできるため、リサイクル可能な環境に優しい商品でもあるのです。

アジアの風そんな紙ダルが目指している新たな市場は、「中国」。中国では人にものを贈る文化、「贈答文化」があり、いかに豪華に見せられるのかが重要視されています。また、環境認識が高まっている今がチャンスではないかという後藤さんのアドバイスを受けます。
ところが現地からの報告は予想外なもの。中国では高品質の容器がすでに市場に溢れており、新規参入が厳しいとのこと。さらに、強度のニーズはありながら、日本から中国へ輸出した場合、パッケージのコストを商品20%に収めるという中国の規制に反するため、実際に導入は難しいというメーカー側の声もあがります。 しかし、中国では樽の形の紙箱があまりないことで人気が集まるという予測や、現時点では中国の包装業界は日本の5年程遅れているが、中国の環境認識が徐々に高まっていることがわかり、現時点では厳しくとも、将来的に市場が開けてくる可能性が高いこともわかりました。

TAMUのエコで強度な「紙ダル」を中国の街中で見かける日も、遠くないかもしれません。

中野好純さん
船井総合研究所 上海現地法人 代表 中野好純さん 米国系大手消費財メーカーにて新製品の市場導入プロジェクトのプロジェクトマネージャーを歴任の後、1998年船井総合研究所入社。それまでの経験を生かし、多数の海外関連のコンサルティング案件を統括。2012年より船井総合研究所上海現地法人の責任者として上海に駐在、コンサルタントとしても更に活動の幅を広げている。主に中国(都市部)の消費財・サービス系関連の販路開拓、マーケティングが専門。
水野真澄さん 
Mizuno Consultancy Holdings Ltd代表取締役社長 水野真澄さん 1987年早稲田大学政治経済学部卒業、同年丸紅入社。 財経本部、中国駐在、丸紅出資のコンサルティング会社の代表取締役社長を経て、2008年8月末に丸紅を退職し、現職に至る。 香港、上海、広州、日本に拠点を持ち、中国でビジネスを展開する日本企業に対して経営コンサルティング、ビジネスソリューションを推進する他、TV出演、講演、雑誌・新聞での連載等を行っている。 「中国人のルール(明日香出版)」、「中国外貨管理マニュアルQ&A(エヌ・エヌ・エー)」など著書多数。